【ボクシング】日本ボクシング界に復帰した「亀田家」の野望 復帰戦勝利の和毅「次にでも」世界挑戦アピール

Sバンタム級に上げ世界王者返り咲きを狙う和毅

減量苦からSバンタム級に階級を上げ世界王者返り咲きを狙う和毅 【写真:Yanomori tomoaki】

 さて試合は、和毅がマイク・タワッチャイにほぼフルマークの10回3−0判定勝ちだった(100−88、100−90、99−90)。タワッチャイは42勝25KO9敗1分のタイ人。黒星はすべて日本で喫しているお得意さんで、近年は、世界挑戦をした和氣慎吾(古口)や現IBFスーパーバンタム級王者の小國以載(角海老宝石)に完敗している。しぶとくIBFランキング(6位)に残っており、和毅にとってもうま味のある相手であるのは間違いない。

体重増も身上のスピードは健在

フィジカルトレーニングでの体重増も身上のスピードは健在 【写真:Yanomori tomoaki】

 試合は55.8キロ契約のフェザー級戦として行われた。減量苦からスーパーバンタム級(55.3キロ上限)に上げて世界チャンピオン返り咲きを狙う和毅は、バンタム級に別れを告げてからというもの、フィジカルトレーニングに励んできたという。リングに上がった和毅の体はたしかに以前よりも大きくなっており、バンタム級の頃の痩せ過ぎの印象はない。

 体が重くなった影響で身上のスピードが鈍くなるのではないかとも思われたがスピードに乗せた左ジャブを飛ばし、序盤からタワッチャイにプレッシャーをかけて出た。
 タワッチャイの動きは悪くはなく、時折潜り込んでは右フックを打っていく。3回には右ストレートを和毅にヒットしてみせたが、びくともせず和毅がプレッシャーをかけ直すと、再びリングを周回する。和毅を脅かす選手にはとても見えない。

右ストレートでダウン奪取の収穫も

「あまりない」という右ストレートを直撃させてダウンを奪う収穫も 【写真:Yanomori tomoaki】

 そんなタワッチャイを和毅はプレスしつつ、相手を呼び込んで右ストレートを打ち下ろす。抜け目なく左ボディーも叩き、ポイントを加算していく。6回は、ワンツーのタイミングで右ストレートを直撃させてタワッチャイを倒した。これは「右で倒せたことはあまりないから」と試合後の和毅も収穫にあげたクリーン・ノックダウン。しかしKOを狙って猛ラッシュするも、とどめを刺せず、タワッチャイに鼻血を流させるにとどまった。

興毅氏のKO指令もとどめは刺せず

KOを狙い猛ラッシュもとどめを刺せず 【写真:Yanomori tomoaki】

 その後も和毅が終始プレッシャーをかける展開が続く。セコンドの興毅氏が「もう一歩(前に)行こう」と的確な指示を出していたが、タワッチャイも張り切って動き回り、決定打を打ち込むことはできず。「後半になっても安心して見ていられた。相手のレベルが上がった時のために、もっと引き出しを増やしていかないと」とあとで興毅氏は語っていた。

金平会長「和毅の準備はできている」

「チャンスがあれば次にでもタイトルマッチをやりたい」と世界挑戦もアピール 【写真:Yanomori tomoaki】

 勝ち名乗りを受けた和毅は周囲に感謝の言葉を述べ、「こんなにお客さんが詰まった中で試合をやれたのは35戦でも初めて。楽しかった」と3年3カ月ぶりの国内復帰を喜んだ。
 そして「これでIBFランキングにも入ると思うし、交渉事ですが、チャンスがあれば次にでもタイトルマッチをやりたい」と世界挑戦もアピール。現在のスーパーバンタム級の情勢は、IBFの小國のほかWBAがスーパー王者ギジェルモ・リゴンドウ(キューバ)とレギュラー王者ネオマール・セルメーニョ(ベネズエラ)を擁し、WBCは29戦全勝のレイ・バルガス(メキシコ)、WBOはジェシー・マグダレノ(米国)が君臨している。防衛戦を控える王者もいて、直近ではWBAのセルメーニョが4月9日大阪で久保隼(真正)の挑戦を受けることが決まっている。WBAで4位につける和毅にしても大いに気になる試合である。
 金平会長は依然ターゲットを明言していないが、「今日の試合を見ても(和毅の)準備はできていることが分かった」というから早期の実現を狙って動くはず。「(次戦で)直接行くかもしれない」(金平会長)とのことだ。

【写真:Yanomori tomoaki】

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