データ上はシュウジが最有力も……今年の阪急杯は例年よりレベル落ち?
前走距離との比較
表5 ※前走ダートは除く 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
前走レース別成績
表6 ※好走例のある重賞のみ 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
前年の阪神Cに出走していた馬の成績
表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
前走芝1200m重賞出走馬・前走4角通過順別成績
表8 ※前走海外戦は除く 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
前走芝1600m以上重賞出走馬・前走着順別成績
表9 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
結論
では、今回確認したデータから有力と思われる馬を探していくが、とにかく昨年の阪神Cに出走していた馬をピックアップするのが先決だ。今年登録があるのは、シュウジ(阪神C1着)、ロサギガンティア(同5着)、ヒルノデイバロー(同10着)の3頭。表7の項で確認した通り、阪神C1〜4着だった馬の好走率が非常に高く、これに該当する唯一の馬となったシュウジは4歳という年齢も買い材料と言え、やはり有力候補と見るべきだろう。
昨年の阪神Cで5着以下だったロサギガンティアとヒルノデイバローに関しては、当日の人気が重要になる。これも表7の項で述べた通り、前年の阪神C5着以下でも当日1〜5番人気なら5割の確率で連対を果たしているからだ。この観点からいくと、一昨年の阪神C勝ち馬であるロサギガンティアは5番人気に以内に支持される公算が大きく、巻き返しの可能性は十分。ただし、6歳以上で3着以内に入った馬の共通項である「前走の重賞で4着以内」という条件を満たすことはできず、シュウジより上の評価はできない。
前走で芝1200m重賞に出走しており、距離延長となる馬は、前走で4角を3番手以内で通過しているとよかった。しかし、である。今年は前走シルクロードSの5頭がこの組にあたるのだが、このなかに該当馬は1頭もいない。強いて挙げれば、この5頭のなかでいちばん前に行っていた(4角5番手)ブラヴィッシモということになるか。逆に、前走が芝1600m以上の重賞で距離短縮となる馬に該当するのはムーンクレストのみ。この馬は前走の京都金杯が13番人気15着で、好走条件を満たせなかった。
こうして見ていくと、今年の阪急杯は登録馬が少ないだけでなく、レベルの面でも例年ほどではないのかもしれない。表4の項で見た通り、前走がオープン特別や1600万下の馬は苦戦しているレースだが、今年に限ってはチャンスがあるのではないか。芝1400mのオープン特別で勝ち鞍があるミッキーラブソング、まだ4歳と若いファインニードルあたりまでマークしておいてもいいだろう。
文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。