マンU出身スカウトがクリニックを開催 “米国経由、欧州行き”を目指す子供たち
ファーガソンから学んだ「ハードワーク」の重要性
ファーガソン(左)に求められた「ハードワーク」は、今でも選手を見極める重要なポイントとなる 【KEVIN GROGAN SOCCER】
「この世代はどんな選手でもいいプレーと悪いプレー、いい試合と悪い試合があるのですが、重要なのは一貫性。どれだけ安定したプレーができるかを見る。それができるといい選手だという判断の基準をひとつ持っています。安定したプレーをするために、どのような考えを持ってプレーに取り組んでいるかという部分には重点を置いています。
また、選手がどういう判断をしてそのポジションを取っているのかも見ています。例えば、ボールを受ける時に自分がどのポジションにいて、相手のポジションに対してどういうポジションを取らなきゃいけないのか。次のプレーでどうしたいからそのポジションを取るのかというところです。試合の流れ、戦術に対してどう判断しているのかということですね」(グローガン)
グローガン自身が指導を受けた元マンチェスター・ユナイテッド監督、アレックス・ファーガソンの教えも、選手のメンタルを見極める際の大きなポイントとなる。
「私がユナイテッドで一番学んだことは、常にハードワークすることです。私がユナイテッドとサインした日にファーガソンが言ったのは、『ハードワーク』『全て起こることをサッカーのために捉えろ』。つまり、『いろいろなことを犠牲にして、サッカーだけに自分の全てをささげろ』ということです。プロになりたい選手が集まってきている中、毎日の練習でいかに自分の全てを出せるか。ハードワークをしてチームのために自分が犠牲になれるかが重要になります」(グローガン)
親やコーチが成長することも重要視
グローガンは子供たちだけでなく、親やコーチも成長することの重要性を語った 【KEVIN GROGAN SOCCER】
「自分の経験を日本にいかにすり合わせてやっていけるか。育成の手助けができることを楽しみにしています。指導するにあたって、サッカーはもちろんですが、日々どのような生活をしなければならないのか。私のユナイテッドでの経験や、他のトップ選手がどうしているのかという経験を伝えたい。サッカーに対してこういう取り組みをすべきだという意識を、子供たちに持ち帰ってもらいたいですね」(グローガン)
クリニックで学ぶのは子供たちだけではない。セルフラーニングシートを用いたトレーニング手法は、ラグビーにも取り入れられており、海外ではオーストラリアやニュージーランドで導入が進んでいる。このシートを活用することが、親御さんや指導者を指導するきっかけになるかもしれない。
「子供が学ぶのは当たり前ですが、親やコーチからの刺激というのは子供にとって大きいので、親やコーチが成長することも子供が成長する1つのキーだと思います。子供たちが学ぶことに伴って、親御さんたちもそれを見て学ぶことがある。子供と親の成長、サッカーに対しての認識や学習が両方伴っていくことが大事です」(グローガン)
グローガンと関に共通している思いは育成年代の指導レベルの向上、そしていかに選手のトレーニング環境をよくしていけるかということ。既に何人ものJリーガーを指導し、Jクラブでの経験を生かして育成年代におけるトレーニングのノウハウを理解している関が日本のフィジカルレベルを底上げし、グローガンがマンチェスター・ユナイテッドでの経験を生かした世界基準の技術・戦術を落とし込む。冨岡が「そこにはシナジーがある。交わったら必ずいいものが生まれる」と期待を寄せる新たな取り組みは、“米国経由ヨーロッパ行き”という新たな航路を開拓できるか。
(文中敬称略、取材・文:豊田真大/スポーツナビ)
Kevin Grogan × CREATIVE LABO クリニック(PR)
【対象】
小学3年生〜小学6年生
【クリニック実施日/3日間】
[1]3/6(月)・3/9(木)・3/10(金)定員:25名
[2]3/7(火)・3/9(木)・3/10(金)定員:25名
【会場】
3/6(月)&3/7(火) ラモスフィールド 19〜21時
3/9(木)&3/10(金) MIFAフットボールパーク 19〜21時
【参加費】
2万8000円(税込)
【クリニック内容】
ケヴィン・グローガン サッカー技術・戦術 80分
Creative Labo フィジカル・コンディショニング 40分
(計120分)
※参加初日3/6と7の「フィジカル・コンディショニング」のセッションはフィジカルテストを実施。フィジカルテスト種目(3種目):10メートル走・10メートル×5(切り返し)・垂直ジャンプ (光電管等のテスト専用の機器を利用し測定)