もう一人、強竜復活の鍵を握るのが田島慎二。昨季は開幕から３１試合連続無失点の日本記録を打ち立て、シーズン途中からは抑えを務めた快腕だ。しかし、小田氏は田島がセットアッパーを担ったときがチームの強いときだと見ている。

「誰を取るとか新戦力とか言うより、田島投手がセットアッパーに収まるということが一番大事。負けてても勝っててもあいつに任せられるような、セットアッパーの感じが一番いいです。彼はバンバン投げたいと思う人。だから、首脳陣としても使い勝手がいい。右も左も関係なく８回は田島で。それが理想的な中日の戦い方だと思いますよ。中継ぎでもう一人７回を任せられる投手が出てきたら、なおいいですね」

　８回に田島が収まることで、７回まで頑張れば大丈夫。長いシーズンのことを考えれば、先発陣の精神的な負担は軽減されることだろう。一方で、クローザーに誰かがはまらないといけないのは留意すべき。候補としては新外国人のアラウホやロンドンなどがいるが、小田氏は数年前に抑えを務めた福谷浩司の名を挙げた。

「福谷投手に頑張ってほしいですよ。外国人選手は神頼みなのでね。福谷投手がキャンプでアピールして『今年いけるじゃん』という形に持っていってほしいですね。田島投手がセットアッパー、福谷投手が抑えだったら強くなるのはありますかね」

　今季は先発転向が予想される福谷だが、それも抑えとして一度は失格のらく印を押されたから。小田氏はあえて再び同じポジションに就くのを期待している。

　捕手として１７年間現役を続けた小田氏。だからこそ、扇の要を担う男たちには厳しい視線を送る。

「僕は野手とかを考える前に、まずはキャッチャーのことを考えますね。昨季は杉山（翔大）選手が１００試合以上マスクをかぶりましたけど、６位だと全く評価されない。たとえば打率０割５分だったとしてもチームが優勝したら評価される。何かを変えないと、１００試合出たところで同じ結果になるよという考えです。まずはスタートラインにみんなを立たせて、結果が出た選手を使えばいいと思います。誰を主で使うじゃなしに、５人ぐらいを均等な形で競争させたい」

　キャンプ、オープン戦で競争し、それに勝った者が開幕マスクをかぶり、ポジションを固めていく。昨季はレギュラー格だった杉山、強肩自慢の桂依央利、強打の２年目・木下拓哉など、２０代中盤の捕手が中日には多い。これからの５年、１０年を中心となって引っ張る存在を小田氏は望んでいる。

「まずはキャッチャーとピッチャー。バッテリーを見ますよ」と春季キャンプの注目点を語った小田氏。チームは「原点回帰」をスローガンに掲げ、一世を風靡（ふうび）した守り勝つ野球を復活させようとしている。その礎を築くであろう、２月１日からの動向に目が離せない。

（取材・文：加賀一輝／スポーツナビ）

◆◆◆ スポナビライブ番組情報（PR） ◆◆◆

◆中日ドラゴンズ春季キャンプを連日ライブ配信◆

※キャンプの休日を除く。