アマチュアで戦う日本人選手たちの現状 瀬田元吾、ドイツサッカー解体新書(5)
フォルトゥナU−23に所属する金城ジャスティン俊樹(右) 【写真:瀬田元吾】
今シーズンのドイツ・ブンデスリーガには、1部に8人、2部に5人の日本人選手が所属している。その数はヨーロッパでも群を抜いているが、実はそれより下のリーグでも、多くの日本人選手たちがプロへの階段を上がるために日々、切磋琢磨(せっさたくま)している。
近年はJリーグを経由せず、高校や大学から海外に挑戦するケースが徐々に増えてきている。そこで今回は、なぜ多くの若い日本人選手が、ドイツのアマチュアリーグを目指して海を渡るのかに焦点を当てて、現状をリポートしてみようと思う。
外国でプレーするために不可欠なビザ
ブンデスリーガ1部や2部クラブからオファーをもらうようなプロ選手は、契約するクラブと雇用契約を結ぶことで就労ビザを取得することができるが、アマチュアリーグでプレーする選手は、まずは学生ビザかワーホリビザを取得することになる。学生ビザは原則、月に税金の支払い義務のない450ユーロ(約5万5000円)までしか収入を得てはならないとされている。一方、ワーホリビザは上限なく収入を得ることが認められているため、アマチュアでドイツに挑戦する選手の多くがこのビザを取得している。
特筆すべきは、ドイツのワーホリビザは定員の設定がなく、希望者には通年で発給されるので、取得が容易であるということだ。ただし、このビザは生涯に1度しか取得できない。よって、2年目からのビザをどうするか、よく考えなければいけないという注意点もある。
多くの日本人選手が在籍する4部リーグ
4部リーグをレギオナルリーガと呼び、このリーグは全国に5地区存在する。合計で91チームが所属しており(各地区18チームずつで、1地区のみ19チーム)、合計11人の日本人選手がプレーしている。
同リーグは08年から12年までは3地区のみだったため、所属していた日本人は非常に少なかった。だが、4部リーグにしてドイツの1/3の広さを移動しなくてはいけないことが経済的負担となり、経営破綻しかけるクラブが発生したため、DFBは12年より5地区への変更を決断した。そういった経緯もあり、4部自体は若干のレベルダウンとなったが、一方で各クラブの経済的負担は軽減され、所属するチーム数が増えることになった。