6週間の中断期間を経てつかんだ4強 天皇杯漫遊記2016 横浜FM対G大阪
関東勢で占められることとなったベスト4
6週間の準備期間について「選手たちをたたえたい」と語る横浜FMのモンバエルツ監督(右) 【宇都宮徹壱】
横浜FMのエリク・モンバエルツ監督は、試合後の会見でこう述べている。この長過ぎるインターバルで、どうモチベーションとコンディションを維持させるか。指揮官としても、非常に頭を悩ませるところであった。横浜FMの場合、新潟とのラウンド16終了後、11月の練習は5回に絞り、それ以外は完全オフとした。そして師走(12月)に入ると徐々にペースを上げていき、5日間の宮崎キャンプを挟んで準々決勝直前までにチームの完成度を高めていった。そうした困難な状況の中、しっかり勝ち切ることができた意義は大きい。
一方のG大阪は、前人未到の天皇杯3連覇の野望を絶たれ、吹田スタジアムでの決勝の舞台に立つという夢も打ち砕かれた。結局、今季は4年ぶりの無冠。しかしながら、年間順位4位のG大阪には、まだACL出場のチャンスが残されている。CSで優勝した鹿島アントラーズ、もしくは3位の川崎フロンターレが天皇杯を制した場合、G大阪がプレーオフからの出場となるからだ。この日、鹿島はサンフレッチェ広島に1−0、川崎はFC東京に2−1でそれぞれ勝利。これに、延長戦の末に湘南ベルマーレを4−2で下した大宮アルディージャが、ベスト4進出に名乗りを挙げた(大宮のベスト4は05年大会以来)。
かくして今大会のベスト4は、関東勢で占められることとなった(52大会ぶりに関西で決勝が行われることを考えれば、いささか皮肉な結果になってしまったと言えよう)。29日の準決勝は、横浜FM対鹿島(@ヤンマー)、そして大宮対川崎(@日産)というカードに決定。今日の試合で殊勲の先制ゴールを上げた齋藤は「このところ鹿島にはなかなか勝ててないので厳しい試合になる」としながらも、「準決勝で負けてしまっては意味がない。優勝した3年前の感覚を取り戻したい」と語っていた。
CSとクラブW杯の喧騒(けんそう)で、一時的に忘れ去られてしまった感のある天皇杯。少なくともこの試合に関しては、プレーヤーがゲーム感覚を取り戻すまで、少し時間がかかってしまったように見受けられた。それでも元日・決勝の舞台が、そしてアジアへの道が明確に見えてきたことで、勝ち残ったチームはギアを一段上げてくることだろう。準決勝が、さらに白熱した好ゲームとなることを期待したい。