“究極の戦略”に屈しなかったロズベルグ
今宮純のアブダビGPインプレッション
「タイトル獲得を諦めたくない」その一心からハミルトンは意図的にペースを落とす
「タイトル獲得を諦めたくない」その一心からハミルトンは意図的にペースを落とす【LAT】

 1962年グラハム・ヒル、82年ケケ・ロズベルグ、96年デーモン・ヒル、そして2016年ニコ・ロズベルグ。両家から2世代チャンピオンが生まれた。気付かれただろうか? ヒル家もロズベルグ家も、息子たちは同じ“34年後”に成し遂げている。


 初めて最多21戦シリーズで行われた16年、中東アブダビGPまでふたりのタイトルマッチレースは続いてきた。14年から3年連続、チームメイト同士、同世代の攻防はとてもめずらしい。


 最終戦が決定舞台になったのは史上29回目。12点リードで初制覇に挑んだ31歳ロズベルグが3度王者の連覇を5点差で阻んだ。今季10勝目を上げたルイス・ハミルトン380点、2位で戴冠したロズベルグ385点。ちなみに昨年は381点と322点で勝敗を分けている。

ハミルトンにとっては“他力”が必要

 この決戦レース、ふたりが目指すべきことはシンプルだった。ロズベルグは自力で表彰台3位以内に入ればそれでいい。ハミルトンは必勝し、相手が3位以内になれないことを望むしかない。それには“他力”がどうしても必要。2台が自分の後ろに割り込んでくれば……。


 今年さんざん苦しんできたスタートをきれいに決めると、ハミルトンは2位ロズベルグ、3位キミ・ライコネンとほぼ同じペースのまま、序盤から独走する気配が見られない。上位陣がすべてピットストップを終えた中盤過ぎ、トップランナーは遂に“究極の駆け引き”に出てくる。


 40周目からラップタイムが乱高下、2位ロズベルグとのギャップは1秒前後。45周目には先頭ハミルトン+ロズベルグ+フェルスタッペン+リカルド+ベッテル、この5台が6.608秒間に連なった。さらに50周目になると集団はもっと圧縮され、先頭ハミルトンから4位ベッテルまで4台が2.856秒間に。ピットから再三ハミルトンに「ペースを上げよ」の指示が飛び交う。


 2位ロズベルグの背後、3位に浮上したベッテルも、その後ろ4位フェルスタッペンも何が起きているか、いや何を起こそうとしているか十分に把握できた。12点を逆転し4度目王者を奪い取るには“他力”に頼るしかないハミルトン。ドライバーの本能がむき出しになった最終戦フィナーレ、55周目は自己ベストより2秒も遅い1分47秒213。トップ4台が1.685秒間に詰まったままチェッカーを受けた。

父と同じ2位に5点差で戴冠

王座獲得へ初心貫徹。敵の仕掛けに動じない強さを身につけたロズベルグ
王座獲得へ初心貫徹。敵の仕掛けに動じない強さを身につけたロズベルグ【Sutton】

 大渋滞のエンディング。そのなかでロズベルグは11年目に『真実のゴール』を決めた。2位を守り抜いたというよりも、ライバルが仕掛けた“究極の戦略”に打ち勝ったというべきだろう。


 34年前、最終戦ラスベガスGPで父ケケは予選6位から5位でゴール。今とは入賞ポイント制が異なるが2位に“5点差”で、偶然だが息子ニコも同じ“5点差”。CS放送の決勝中継解説を終えて帰宅する途中に気付いた(ここで申し上げたい)。


――ハミルトンがとったプレーに対し、メルセデス首脳陣は批判的な姿勢でいる。しかし彼はPP12回、10勝を挙げ、“16年最速王”にふさわしいと思う。だからこそ個人的には思い切りよく独走する53勝レースが見たかった。

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