川崎宗則が振り返る米国挑戦の5年間 「日本のリズムを壊していかないと」

菊地慶剛

日米の守備の違いを川崎流に説明すると……

川崎は日米の守備の違いをダンスに例えて表現した 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

 12年当時はメジャーリーグに対する憧れも知識も決して多くはなかった。しかし1年間メジャーに在籍することで、過去に体験したことがない新たな価値観があることを感じ取った。そしてその価値観はまさにカルチャーショックともいえる衝撃であり、今でも野球少年の心を持つ川崎はその価値観を学び、さらに野球がうまくなりたいと感じたのだ。

 その1つが内野守備だ。川崎はダンスに例えながら日本との違いを説明してくれた。

「米国に来て一番の収穫は、自由なプレーをすること。体がどんどん自由に動いて自分が動きやすいようにプレーしていかないといけない。そのためには自分で(守備の)リズムをつくりださないといけない。要するにダンスなんだよね。いろんな踊り方があるように、自分の体の中にあるリズムで野球をしていく感じだと思う。

 自分は日本人だから盆踊りかもしれないけど、ドミニカ(共和国)の選手や米国の選手を見ていると、守備は芸術的だよ。誰かに教わったんじゃなくて、誰かの物まねをしながら、どうしたらアウトにできるかを自分で感じ取ってリズムをつくってる。

(自分の場合は)日本にいた時のリズムがなかなか壊れなかった。それが少しずつ壊れてきた。やっぱりどんどん壊していかないといけないし、その壊していく作業が一番難しい。考え方もセオリーに固まっちゃいけない。セオリーはセオリーに負けちゃうから。毎年壊す作業をしているけど、もっと壊さないといけない。

 どうしても小さい頃の動きが体に染みついている。もっと壊すことができれば、もっといいプレーができるようになると思う」

「一生現役を目指している」

 もちろん理想を言えば、メジャーの戦力としてシーズンを通してメジャーで出場し続けるに越したことはない。だが川崎はマイナーで出場を続けながらも、ただメジャー昇格を待つだけでなく、しっかり自分なりの目標を掲げ自分の成長を信じて日々のプレーに集中してきたのだ。

 特に今季はシーズン前から食事を全面的に見直し、肉体改造にも着手。過去にないほど体重を絞り米国に乗り込んできた。それを物語るように、メジャー、マイナー合計で過去最高の22盗塁を記録するなど、大きなケガもなくシーズンを乗り切ることに成功した。

「体調はこの5年間で一番良かった。パワーはなかなかつかないけど、スピードは上がった。この35歳でスピードがあったというのは大きいよね」

 どうしても世間の目は日本人メジャー選手に対し、どれだけメジャーで活躍したのかが指標になってしまうのは仕方がない。そういった意味ではこの5年間の川崎の活躍に合格点を与える人は決して多くはないだろう。だが川崎本人は、米国での5年間に確かな手応えを感じている。

「日本にいた時よりも野球がうまくなっていると思う。この5年間で最高のものが学べたんじゃないかな。違う環境でやることは最初はタフだったけど、それがどんどん(課題を)クリアしていくたびに自信になって、自分の血になり骨になっている。せっかく苦労してつかんだものはそう簡単に手放したくないと思ってるよ。

 バッティングに関しても毎年良くなってきているし、少しずつ上手になってきている。自信がついてきているので、このまま続けていきたい」

 ワールドシリーズ終了とともに、メジャーも本格的なストーブリーグに突入した。川崎もFAとなり、来季の所属先を探す身となった。すでに日本では6年ぶりの日本球界復帰の可能性が報じられるなど、周囲は慌ただしくなってきた。

「ある本を読んで一生現役を目指している。60歳になっても今のパフォーマンスができるようにしたいと思ってる」

 何処の地でプレーすることになっても、これからも野球がうまくなりたいという川崎の姿勢、向上心が変わることはないだろう。

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著者プロフィール

栃木県出身。某業界紙記者を経て1993年に米国へ移りフリーライター活動を開始。95年に野茂英雄氏がドジャース入りをしたことを契機に本格的にスポーツライターの道を歩む。これまでスポーツ紙や通信社の通信員を務め、MLBをはじめNFL、NBA、NHL、MLS、PGA、ウィンタースポーツ等様々な競技を取材する。フルマラソン完走3回の経験を持ち、時折アスリートの自主トレに参加しトレーニングに励む。モットーは「歌って走れるスポーツライター」。Twitter(http://twitter.com/joshkikuchi)も随時更新中。

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