川田将雅の迷いなき野望 目の前の敵を射る―1000勝インタビュー―

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ダービー制覇、1000勝達成 自身にとって大きな大きな1年に

今年はマカヒキとのコンビでダービージョッキーにもなった(撮影:下野雄規) 【netkeiba.com】

 11月13日終了時点で117勝。全国リーディング4位、関西ではルメール、デムーロに次ぐ3位につけている。さらに、現時点で重賞勝利数、勝率、連対率、複勝率ともキャリア最高をマーク。中堅に差し掛かり、恐ろしいまでに脂が乗ってきた。また、今年は何といっても、マカヒキでダービージョッキーの称号も手に入れた。1000勝達成も合わせ、2016年というこの年は、次のステージへ移ろうとしている川田にとって大きな大きな1年だったに違いない。

「今は毎週、競馬を本当に楽しんでいます。もともと僕には自信しかないですからね。今まで一度も、自信がなかったことなんてありませんから(笑)」

 31歳にして、なんてふてぶてしい発言! が、これが川田将雅の魅力であり、強さの源なのである。

「僕としては当たり前のことをやってきただけで、何も特別なことはしていないんです。レースでの着順にしても、リーディングの順位にしても、目の前のことをただ必死に追ってきただけ。人付き合いが苦手なぶん、競馬で認めてもらわなくてはと、それはもう必死でしたけどね。もちろん、その思いは今も変わりませんし、若い子たちのためにももっともっと頑張らなくてはと思います。とはいえ僕がすべきことは、今週も来週もこれまで通り、目の前の“ひとつ”に誠心誠意を注ぐだけです」

マイルCSには前哨戦のスワンSを快勝したサトノアラジンとのコンビで挑む 【netkeiba.com】

 今週末のメインレースは、混戦ムードが伝えられているマイルCS。川田のパートナーは、有力馬の一角であるサトノアラジンだ。前走のスワンSでは、いかにも川田らしい迷いのないエスコートで、トップゴールを切った。未完の大器と言われ続けたアラジンの能力が、いよいよ開花のときを迎えるかもしれない。

「マイルCS、香港マイルと予定されているなかでのスワンSでしたが、そこであれだけの勝ち方ができましたから、当然期待は大きいです。勝ち急ぐことなく、あれだけの競馬ができるということは、やはり秘めたポテンシャルが違うんだと思います。安田記念は流れの向かない競馬になってしまい、直線でも道が作れませんでしたからね。今度こそ、この馬の全力の走りができるように頑張りたいです」

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 先人の誰に似ているでもなく、今のところ、川田イズムを継承しそうな後輩も見当たらない。きっと、川田将雅というジョッキーは、最後まで唯一無二の存在なのだろうと思う。だからこそ、定着しつつあるこの世界を、アッという間にひっくり返してくれそうな気がしてならない。

 生意気でもいいじゃないか、雑音を封じ込める腕があるのなら──。一般社会に置き換えてみても、それで周囲を納得させられる人材は少ない。が、競馬界には、川田将雅がいる。凡人である筆者にとっては、存在自体が憧憬なのである。

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