大迫勇也がケルンで見せる新たな表情
現地記者の評価と本人が語る好調の理由

リーグ戦10節を終え、EL射程圏内の6位につける

ケルンはリーグ戦第10節までを終え、未だ2敗と好調をキープ。順位はEL圏内の6位につけている
ケルンはリーグ戦第10節までを終え、未だ2敗と好調をキープ。順位はEL圏内の6位につけている【Getty Images】

 試合終了のホイッスルに、選手たちは頭を垂れた。


 11月5日(現地時間)に行われたブンデスリーガ第10節、アイントラハト・フランクフルトの守備は、ケルンにはあまりに強力だった。フランクフルトのミヤト・ガチノビッチはケルンのGKティモ・ホルンをスピードで上回り、決勝点を挙げた。ケルンが反撃のギアを上げるのは遅きに失した。直近のリーグ戦3試合での2敗目は、論理的帰結であった。


 それでも、1964年にブンデスリーガの初代王者となった伝統あるクラブは現在、危機という言葉とは程遠い場所にいる。クラブロゴの一部にもなっている公式マスコットの「ヘンネス」にちなみ「ヤギ」という愛称を持つこのクラブがそう感じさせるのは、近年では残留争いに巻き込まれることに慣れつつあったから、というだけではない。


 素晴らしいスタートを切った今季のケルンは、まだ2敗しか喫していないのだ。もう1つ「FC(エフツェー)」との愛称を持つケルンは、第10節までを終えて、現在6位につけている。このままシーズンを終えれば、来季にはヨーロッパリーグ(EL)を戦える順位である。


 ケルンはブンデスリーガの新シーズンにおける、センセーションと言える存在だ。


 確かにRBライプツィヒも若くダイナミックなチームとして、その素晴らしいパフォーマンスで強い印象を残している。だが、この夏に一番大きな一歩を踏み出したのは、ケルンであったように見える。それまでの数カ月で、大きな変化があったわけではない。だが、それこそが今季ここまで成功している秘密の一端なのだ。


 RBライプツィヒやホッフェンハイムと異なり、ケルンは際限ないほどの資金をクラブに注ぎ込むような金満会社がバックについているわけではない。ベースとなるのは、2部リーグにいても変わることのない多くのファンと満員のスタジアム。ケルンは、そういった昔気質のサッカークラブだ。

シュマトケSDがもたらした大きなステップアップ

チームを率いるシュテーガー監督。その抜群のユーモアセンスはドイツ中の誰もが知るところだ
チームを率いるシュテーガー監督。その抜群のユーモアセンスはドイツ中の誰もが知るところだ【Getty Images】

 ただし彼らには、一味違う武器がある。新しいアイデアと、スポーツディレクター(SD)のヨルグ・シュマトケだ。


 シュマトケSDの名は、賢さと健全財政、そして成功を意味する。恐怖といら立ち、ジェットコースターに乗っているかのような上下動。毎年そういったシーズンに慣れていたファンが待ち望んでいた大きなステップアップをもたらしたのがシュマトケだった。


 ペーター・シュテーガーが監督に就任した2013年には、クラブはブンデスリーガ2部にいた。ケルンは97−98シーズンに降格を経験して以来、10年以上も1部と2部の間で上昇と下降を繰り返すエレベーターの中にいた。オーストリアでトップの監督という名声を打ち立てており、ドイツのビッグクラブを率いるチャンスを求めていたシュテーガーだったが、最高の舞台では戦っていないケルンにやってきた。ケルンも、シュテーガーを招へいするために、6桁もの金額(10万ユーロの単位、日本円で数千万円)を支払った。クラブがシュテーガーの能力をいかに信じていたかの証明だと言えるだろう。


 シュテーガーは、堂々のスタートを切った。彼のジョークはいつでも受けが良く、インタビューではサウナを例にするなど笑える話を持ち出して、かしこまったものにはしなかった。ケルンのクラブカラーで染められた眼鏡を買ったこともある。そのユーモアセンスは、ドイツ中の誰もが知るところだ。


 数週間前には、「ドイツサッカー最優秀コメント賞」を受賞した。昨季のハノーファー戦の際、レオン・アンドレアセンの明らかなハンドを見逃された時に残した、このコメントが評価されたのだ。


「副審に、私の眼鏡を差し出したよ。でも、彼にはそれさえも見えていなかった」


 報道陣の間では、シュテーガーは最高に愉快で、常に公平であること。そしてコメントの秀逸さとドライなユーモアを持つことで知られている。だが、練習場では、「ミスター・ナイスガイ」の顔は消える。選手たちとの関係は良好ながら、はっきりさせることがある。ボスは自分である、ということだ。選手たちにはハードワークを求め、特に戦術レベルでは要求が高い。


 シュテーガーがやってきた時、ケルンはひどく醜い守備的なサッカーをしていた。1部昇格を決めた後、彼は効率性の高いカウンター攻撃を確立しようとし始めた。しかし、その後シュテーガーは、戦術やシステムにどんどん手を加えるようになっていった。そして、創造性に溢れる攻撃的プレーをチームに浸透させたのだ。


 新シーズンに入ったケルンが、以前と同じようなプレーをすることは決してなかった。おかげでケルンは、予測不可能な存在になっていった。たくさんの新戦力を買い集めることなどしなくとも、シュテーガーのチームは攻撃的で効果的なサッカーをするようになった。今季も、その延長性上にあるということだ。最終ラインの枚数も、3枚でも4枚でも、あるいは5バックにでもスイッチが可能になった。たとえ、それが試合中であってもだ。

ダビド・ニーンハウス & フランソワ・デュシャト
ダビド・ニーンハウス & フランソワ・デュシャト

フランソワ・デュシャト 1986年生まれ。世界最大級のサッカーサイト「Goal.com」でドイツ語版の編集長を務め、13年からドイツで有数の発行部数を誇る「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)でドイツ西部のサッカークラブを担当する。過去には音楽の取材もしていた。ツイッターアカウントは@Duchateau。自身のサイトはwww.francoisduchateau.net。 ダビド・ニーンハウス 1978年生まれ。20年以上にわたり、ルール地方のサッカークラブに焦点を当て、ブンデスリーガの取材を続ける。09年からは「WAZ」紙のサイト(http://www.derwesten.de/)で記者を務める。ツイッターアカウントは@ruhrpoet。自身のサイトはwww.david-nienhaus.de。

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