Bリーグ大河チェアマンが語る開幕1カ月  「意識改革と代表の強化を目指す」

カワサキマサシ

リーグ戦を中断して代表戦を入れる

A東京vs.琉球の開幕戦で話題になったLEDコート。しかし、これだけではない仕掛けをBリーグは目指す 【写真は共同】

──企業チーム中心のNBLのチームとbjリーグにいたチームが一緒になって、ゲームを行う上で互いのレベル差が懸念されました。ここまでの1カ月でその見解はいかがですか?

 思ったよりレベルの差はないですね。ひとつは(両リーグ間で)選手が少し動いたということもあるでしょう。それにbjリーグにいた選手は、プロとして長年でやってきた意地もあるでしょう。これから旧bj勢は、だんだん慣れてくると思います。サイズの異なる日本人同士でマッチアップしたり、日本人と外国人選手、ないしは帰化選手とマッチアップすることに慣れてくれば、もっと差が縮まるかもしれません。

 一方で旧NBL勢は最初はひょっとしたら、少し安易に考えていたようなところがあったかもしれません。ですがたとえば、もっとアグレッシブに、スピード感を持って積極的に3Pをねらっていかないと、足元をすくわれるぞというようなことを感じているかもしれない。そういう危機感みたいなものが両者にあると、日本のバスケットボールのレベルの底上げになると思いますね。

──Bリーグが目指す、未来の形とは?

 まずは、試合内容の充実。それから各所で申し上げているとおり、日本代表が強くならないといけない。今季も代表候補者の招集は毎月のように行っていくのと同時に、リーグ戦の途中でも中断期間を設けて、その間に代表戦を入れていきます。

 代表に選ばれることで個人の選手にスポンサーがついたり、年俸が上がったり、クラブに戻ってチームの知名度が上がって集客につながる。そういう良い循環をやっていきたい。それからbjのチーム、NBLの一部のチームを含めて今までやってきたと思いますがCSR(企業の社会的責任)的な、企業であるとか行政さんに対して地域貢献活動をもっと活発にやっていって、地域になくてはならない存在になってほしい。今までやっていなかったというわけではなく、もっとやれることはあると思います。

 裾野が拡大して、みなさんにバスケットボールを認知してもらうということと、トップのレベルがグンと上がっていくこと。この二つを目指していきたいです。

──一部の報道では開幕時のJリーグと比較して、スター選手の不在を挙げています。ですがBリーグはスター選手を連れてくるリーグではなく、スター選手を育てる、作り出すリーグだと思います。

 そうですね。今日も三河の比江島(慎)選手がとても活躍しました。ああいう選手がNBLにいたんだということも、今までbjリーグの大阪を応援していたファンの方に知ってもらえたと思います。

 その一方で大阪のファンの方も、自分が応援しているチームにも根来(新之助)選手をはじめ、いろいろな可能性のある選手がいると感じられたでしょう。そうやって選手が注目され、多くのお客さんの前でプレーして、それが選手のモチベーションアップにもつながる。そういう中から、スター性を持った選手がたくさん出てきてくれればと思っています。
 船出は、おおむね順調。しかしチェアマンは、現状をよしとはしていない。それは先のコメントの中で語られていた、リーグが目指す志の高さゆえ。これをいかに、Bリーグに参加したクラブが受け止めるか。

 Bリーグの参加要件の中で、大きなネックの一つになっていた「5000人収容のアリーナを要すること」についても、これまでの日本のバスケットボール界の現状を鑑みると夢物語だっただろう。このことも含め、新たな日本バスケ界が求めたのは、できないと思い込んでいた現状を打ち崩す突破者。Bリーグには、そういう者たちが集まったと信じたい。

 自らが作り上げてしまった既成概念から脱せず、無理だと「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」なのである。

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著者プロフィール

大阪府大阪市出身。1990年代から関西で出版社の編集部員と並行してフリーライターとして活動し、現在に至る。現在は関西のスポーツを中心に、取材・執筆活動を行う。

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