得点力不足が続くロペテギのスペイン代表 有効な打開策はウイングを活用すること
デルボスケ時代から課題は変わらず
W杯予選で順調な戦いを見せるスペイン代表。しかし、内容に課題を残す 【Getty Images】
しかしながら、ビセンテ・デルボスケ前監督の時代から基本的には変わっていない“ラ・ロハ”(スペイン代表の愛称)のプレーについては、議論すべき要素がたくさんある。
とりわけ10月のイタリア戦(1−1)とアルバニア戦(2−0)で際立ったことだが、W杯予選の3試合でスペイン代表が用いたシステムには、いくつかの問題点が見られた。それは明らかな格下との対戦が多いW杯予選では目立たなくとも、本大会のビッグゲームでは高い代償を払う要因となりかねないものだ。
疲労感を漂わせた選手たち。ショートパスばかりでリズムの遅いプレー。MFが多い反面、FWが人材不足のアンバランスなメンバー構成。デルボスケの指揮下、特に2014年のW杯ブラジル大会で露呈したこれらの問題は、ポゼッションスタイルを継承したロペテギの下でも再び繰り返されている。
考え方自体は間違っていない。スペインフットボール界が擁する中盤のタレントを考えれば、ボール支配をベースとしたプレースタイルを選択するのは理にかなっている。問題はボール扱いには長けるが、得点力に欠ける選手ばかりを起用しているため、どの試合でも同じようにボールを独占し、圧倒的にゲームを支配しながら、内容の優越性をスコアに反映できないことにある。
ピッチの横幅を活用するのが有効な打開策
得点力不足を解決するためには、ノリートのようなウイングの起用が有効だ 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】
ブスケッツと通常、右からダニエル・カルバハル、セルヒオ・ラモス、ジェラール・ピケ、ジョルディ・アルバが並ぶ4バックによる守備は非常に安定している。攻撃面でもサイドバックの攻め上がり、両センターバックの空中戦の強さは大きな武器になっている。
問題は中盤から前線にかけてだ。テクニカルなMFを複数起用すればボールの支配力は増すが、一方で縦へのスピードや突破力は薄れてしまう。そうでなくとも11人全員が自陣に引きこもり、攻め入るスペースを消してくる格下との対戦においては、ゴール前に侵入するのが困難になる。そのような際には両サイドにウイングを起用し、ピッチの横幅を活用するのが有効な打開策であることは明らかだ。
ノリートやホセ・カジェホン、ルーカス・バスケス、ロペテギの指揮下では呼ばれなくなったペドロ・ロドリゲスら、そのための人材にも事欠かない。別に駒不足により戦い方が限定されているのではなく、どのようなスタイルも実現可能な、豊富な選択肢がスペインにはあるのだ。