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新世代の台頭著しい車いすテニス
銅メダル争いで見えた日本の現状

守るテニスで勝利したベテラン組

果敢に攻めたものの、(右から)三木、眞田組はベテラン組の前に屈した
果敢に攻めたものの、(右から)三木、眞田組はベテラン組の前に屈した【写真:伊藤真吾/アフロ】

 対戦した眞田と三木は、互いを知り尽くしたうえでの対決で、ベテランが守備を固めてくることを想定して臨んだ。


「練習中も守りのテニスを展開していましたから。それを崩すには、僕らの攻撃的なテニスを仕掛けるのみ。決めるか、ミスするか。リスクは高い。でも、新しいテニスを見せられたのではないかと思います」(眞田)


 三木は果敢に前に出てボレーを放つ。眞田は、ベースラインから鋭いグラウンドストロークを打ち込んだ。


「三木くんのボレーは彼の強みでもあり、こちらとしては狙い所でもあった。しっかりダッシュしておけば、チャンスが生まれる。ウィナーを狙うことも大事ですが、ミスをしないでプレーし続けることも、同じくらい大事だということを改めて感じながらプレーしていました」(国枝)


 攻撃的な若手ペアに対して、徹底的に守るテニスで応酬したベテラン。それは日本人同士の対戦だから繰り広げられた展開だったと、互いに感じている。


「ダブルスの準決勝でイギリス勢と対戦した時とは全く異なる。イギリスは息もつかせぬような攻撃をガンガン仕掛けてきた。僕らも応戦したけど、結果的に届かなかった。今日のような試合展開は、日本の車いすテニスの現状、実力を表している。そこは猛省して次につなげたい」(国枝)

大きな分水嶺となったリオ大会

イギリスのフューイット(写真)はまだ19歳。リオ大会は新世代の台頭が著しかった
イギリスのフューイット(写真)はまだ19歳。リオ大会は新世代の台頭が著しかった【写真:ロイター/アフロ】

 リオパラリンピックで、シングルスの決勝に進出したのは、イギリスの19歳アルフィー・フューイットと24歳ゴードン・リード。この2人はダブルスでも決勝戦に進み、銀メダルを獲得した。そのプレースタイルはまさに攻撃的。2バウンドまでが認められる車いすテニスではラリーが長く続き、一般のテニスに比べて展開がゆっくりと感じられる場合がある。が、この2人はボールへの反応、返球速度も抜群に速い。ラリーが続く前にカタがつくプレーを次々と繰り出す。


 それが、次世代の車いすテニスである。流れを作ったのは国枝だ。続く世代が、それを進化させてきた。ロンドンパラリンピックの決勝戦で国枝と戦ったフランスのステファン・ウデや、車いすテニス王国として君臨してきたオランダのマイケル・シェファーズといったベテランが、今大会、こうした若手に敗れたのも、象徴的な出来事だったと言えるだろう。


「ロンドン以降の4年間、着実にその流れは世界で起こりつつありました。それがリオの舞台でも結果として表れた。パラリンピックというのは、世界の、4年間の縮図なんだな、と実感しました」と、三木は言う。


「進化のスピードは早い。今後の4年間でさらに成長していくだろうと思っています。イギリス勢は自分よりまだ若い。その勢いに、自分たちがどれだけ食い込んでいけるか。そこが勝負ですね」(三木)


 進化する車いすテニス。それをけん引してきた国枝慎吾と、続く新たな世代が、東京までの4年間にどんな成長を見せるのか。リオデジャネイロは、大きな分水嶺(れい)としての大会になったのだった。

宮崎恵理

東京生まれ。マリンスポーツ専門誌を発行する出版社で、ウインドサーフィン専門誌の編集部勤務を経て、フリーランスライターに。雑誌・書籍などの編集・執筆にたずさわる。得意分野はバレーボール(インドア、ビーチとも)、スキー(特にフリースタイル系)、フィットネス、健康関連。また、パラリンピックなどの障害者スポーツでも取材活動中。日本スポーツプレス協会会員、国際スポーツプレス協会会員。著書に『心眼で射止めた金メダル』『希望をくれた人』。

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