ヘビー、ミドル、S・フェザー級が熱い 世界のボクシング この階級に注目!

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スター選手集結のミドル級 村田も挑戦圏内に

ミドル級3団体の王者となっている“トリプル・ジー”ゴロフキン 【Getty Images】

 ミドル級はWBA、WBC、IBF3団体統一王者、“GGG(トリプル・ジー)”ことゲンナディ・ゲンナビッチ・ゴロフキン(34=カザフスタン)が頭ひとつ抜けた存在といえる。この04年アテネ五輪銀メダリストはプロでも36戦全勝(33KO)という驚愕のレコードを残しており、6年前の戴冠以後、17度の防衛戦をすべてKOで片づけている。同じ階級の他団体王者やランカーたちから敬遠される傾向にある中、先日は勇敢なウェルター級のIBF王者、ケル・ブルック(30=イギリス)の挑戦を5回TKOで退けたばかりだ。ただし、ここ数戦は被弾も目立つようになり「ピークは過ぎた」との声もある。今後は下降曲線をいかに緩やかに抑えるか、その途中で誰が対戦に名乗りを挙げるかといった点が注目されることになりそうだ。

 この階級にはWBAのレギュラー王者としてダニエル・ジェイコブス(29=アメリカ)がいる。一時は骨肉腫を患い選手生命を絶たれたかと思われたジェイコブスだが、1年7カ月のブランクを乗り越えて12年10月に戦線復帰、2年前には世界王座も手に入れた。
「ミラクルマン(奇跡の人)」と呼ばれる所以である。昨年12月にはライバルであり友人でもある元王者、ピーター・クィリン(33=アメリカ)に85秒でTKO勝ちを収めるなど着実に防衛回数を伸ばしている。32戦31勝(28KO)1敗。WBAでスーパー王者として認定されるゴロフキンとの対戦が期待される。

 WBO王者のビリー・ジョー・サンダース(27=イギリス)は23戦全勝(12KO)の戦績を残しているサウスポーで、スピードがある。世界王座は昨年12月に獲得したが、今年4月の初防衛戦を故障のためキャンセルしており、9カ月以上のブランクができてしまった。多くのランカーがターゲットにしていることもあり、次戦で誰と戦うのか注目される。

 5月までWBC王座を保持していたサウル・カネロ・アルバレス(26=メキシコ 49戦47勝33KO1敗1分)は、ゴロフキンと肩を並べる実力と知名度を持っている。ビジネス上の問題でゴロフキン戦を先延ばしにして王座を返上したため「逃げた」と揶揄(やゆ)されもしたが、アルバレス(49戦47勝33KO1敗1分)は「いつでも戦う用意はあるし、勝つ自信もある」と話している。ゴロフキン対アルバレスは来年9月にセットされそうな雰囲気だ。

 このほか親子世界王者として知られる前WBA暫定王者のクリス・ユーバンク・ジュニア(26=イギリス 24戦23勝18KO1敗)、北米で絶大な人気を誇る前IBF王者、デビッド・レミュー(27=カナダ 38戦35勝32KO3敗)、IBFの指名挑戦権を持つトゥレアノ・ジョンソン(32=バハマ 20戦19勝13KO1敗)らも力がある。

 そして、忘れてはならないのが12年ロンドン五輪金メダリストで、プロ転向後は11戦全勝(8KO)を収めている村田諒太(30=帝拳)である。主要4団体すべてで挑戦圏内におり、年内か来年には大舞台に上がることになりそうだ。また、その村田に11年世界選手権決勝で競り勝っているイェフゲン・ヒトロフ(28=アメリカ)も14戦全勝(12KO)を収めて王座を視界にとらえている。

波瀾続出のS・フェザー級 内山、三浦もベルト奪回狙う

波乱が続くS・フェザー級だが、ロマチェンコ(右)が主軸となってきそうだ 【(C)NAOKI FUKUDA】

 1年前、スーパー・フェザー級はWBAのスーパー王座に内山高志(36=ワタナベ 26戦24勝20KO1敗1分)が君臨し、レギュラー王座はハビエル・フォルトゥナ(27=ドミニカ共和国 32戦29勝21KO1敗1分1無効試合)、暫定王座はエマヌエル・ロペス(26=メキシコ)が保持していた。しかし、現在は内山に代わってジェスレル・コラレス(25=パナマ 21戦20勝8KO1敗)がスーパー王座に座り、フォルトゥナを逆転TKOで破ったジェイソン・ソーサ(28=アメリカ 24戦19勝15KO1敗4分)がレギュラー王者として認定されている。

 WBCも同様だ。昨年のいまごろは内山との日本人対決が期待された三浦隆司(32=帝拳 35戦30勝23KO3敗2分)がベルトの持ち主だったが、11月にフランシスコ・バルガス(31=メキシコ 25戦23勝17KO2分)に9回TKO負けを喫して王座を追われた。

 WBOはローマン・マルチネス(33=プエルトリコ 35戦29勝17KO3敗3分)がしぶとく王座に居座っていたが、今年6月、フェザー級から上がってきたワシル・ロマチェンコ(28=ウクライナ 7戦6勝4KO1敗)に5回KOで完敗、虎の子のベルトを明け渡した。この間、今年3月にはミゲール・ベルチェル(24=メキシコ 31戦30勝27KO1敗)がWBOの暫定王者になっている。

 こうして各団体の王座の変遷と選手名を列記しただけでも、この階級のトップ戦線の動きがいかに激しいかが分かるだろう。1年前と変わっていないのはIBF王者のホセ・ペドラサ(27=プエルトリコ 22戦全勝12KO)だけである。そのペドラサにしても昨年6月の戴冠なのだから、この1年半以内で主要4団体の王座の持ち主はすべて入れ替わったことになるわけだ。

 波瀾が続くS・フェザー級戦線だが、ロマチェンコがWBO王座についたことで核ができた感がある。“ハイテク”というニックネームを持つこのサウスポーは五輪連覇を果たした天才で、他団体のベルトにも興味を示している。身長168センチ、リーチ166センチと決して大きな体ではないが、近い将来、ライト級制覇にも乗り出す計画がある。その前に前WBA世界フェザー級王者のニコラス・ウォータース(30=ジャマイカ 27戦26勝21KO1分)と拳を交えてほしいというのがファンの願いだ。

 こうした中、今のところ内山は年末にコラレスとの再戦を目指していると伝えられ、三浦はバルガスへの雪辱と王座奪回を狙っている。ともに具体的な日程は発表されていないが、遠からず動きがあるものと思われる。

Written by ボクシングライター原功
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<WBO世界S・ウェルター級タイトルマッチ>
サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)/2階級制覇王者
リアム・スミス(イギリス)/WBO世界S・ウェルター級チャンピオン

【放送日】9月26日(月)夜9:00[WOWOWライブ] 
<WBA・WBC世界ライト級王座統一戦>
ホルヘ・リナレス(ベネズエラ/帝拳)/3階級制覇王者
アンソニー・クロラ(イギリス)/WBA世界ライト級チャンピオン
※9/25(日)メンバーズオンデマンド先行ライブ配信

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