なぜか順調なリオパラのチケット販売 五輪が愛国心に火を付けた

サンパウロ新聞

8月末からチケット販売が上向きに

五輪の男子バレーボール決勝で声援を送るブラジルのファン。母国愛に火が付いたのだろうか 【Getty Images】

 こうしたマイナスイメージが先行している中で唯一、明るい話題が出てきた。8月中旬時点でパラリンピックの観戦チケットの販売数は全体の12%にしかすぎず、組織委員会はリオ市内の小中学校などに無料配布することで観客席を埋めることを考えていたほどだ。しかし、8月末になると全体の44%、110万枚が売れた。五輪終了後の8月24日には1日で14万5000枚ものチケットが売れ、その後も順調な売れ行きが続いているという。

 組織委員会は「五輪の終盤で男子バレーボールや男子サッカーが金メダルを獲得したことでブラジル人の母国愛に火が付き、パラリンピックでもブラジル勢の活躍を見たいということが背景にあるのではないか」と分析している。

 パラリンピックの歴史を振り返ると、ブラジルチームの金メダル獲得数はアテネ(2004年)で14位(6個)、北京(2008年)で9位(16個)、ロンドンで7位(21個)と右肩上がりで増えており、ブラジル・パラリンピック委員会は「今大会の目標はベスト5入りで、その可能性は充分ある。これまでで最強のチームだ。毎日、ブラジル国歌を会場で流せるように頑張る」と大会史上最高となる287人もの選手団を送り込む。

 北京、ロンドン大会でメダルを獲得した陸上、競泳、サッカーをはじめ強化種目としてゴールボール、パワーリフティング、アーチェリー、自転車ロードレース、カヌー、ボートなどに期待をかけている。開催国の強みで五輪同様、連邦政府が強化種目に対して投資をしており、実を結ぶことが考えられる。

 ブラジル・パラリンピック委員会が豪語するように、各種目でメダルを獲得するとブラジル人の母国愛に火が付き、ブラジル人観客動員数がうなぎ上りに増えることも予想される。「非常識な高値だ」と酷評されたリオ市内のホテル代もほぼ普段の価格に戻り、国内線の飛行機のチケットも安値で買えるようになったことを考えると、会場がブラジル人で埋まることも夢ではなさそうだ。

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1946年に創刊したブラジル・サンパウロの邦字新聞(週5回発行)。日刊の邦字新聞としては海外最大規模を誇る。日系社会の言論界をリードし、さらには文化事業で日本との架け橋を担う。

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