サッカー日本代表は１日、埼玉スタジアム２００２でＵＡＥ代表とのワールドカップ（Ｗ杯）アジア最終予選に臨み、１−２で敗れた。日本は前半１１分に本田圭佑のゴールで先制するも、２０分にアハメド・ハリルに決められ、１−１で前半を終えた。後半９分、ハリルにこの日２点目となるゴールをＰＫで許すと、その後に迎えたチャンスを生かすことができず逆転負けを喫した。

　試合後、先制ゴールを決めた本田は「全く想定していなかった結果ですし、残念」と敗戦について語ると、「戦い方どうこうもありますが、それ以前に根本的な気合いみたいな、根性みたいな……。負けず嫌いみたいなものが、大事な場面で求められる。それが足りない」と持論を展開した。また、この試合が初先発となった大島僚太は「すり合わせが必要」と連係面でのさらなる向上の必要性を口にし、キャプテンの長谷部誠は「自分たちで自分たちの首をしめた」と敗戦を振り返った。

　日本は次戦、６日にタイ代表とアウェーで対戦する。

「全く想定していなかった」

（厳しい予選になると試合前から言っていたが、実際に戦ってみての感覚は）難しい試合になるとは言いましたけれど、もちろん負けるつもりで言ったわけではないですし、勝つ前提であくまでも自分らが油断しないように言っていた部分はあります。当然ながら全く想定していなかった結果ですし、残念です。

（力の差がある相手なら２点３点取れたと思うが、ＵＡＥはそれだけの相手だった？）結果論（として）、そういう言い方になりますよね。今日は勝負弱かったですね。そこだと思います。やっぱりどういう内容であれ、勝ち切らないといけないと僕は思っている。数値上はたぶんすごく良い戦力だと思うんですよ、今の日本は。でも試合に勝つというのは数値で測れないものだったりするんです。そこ（勝負強さ）が欠けてるというのは間違いない。それがやはりこの２年、３年、結果として表れていると思います。

　そこは、もちろん自分の責任だと思っているので、受け止めて、何が勝ち切れない理由なのか。こういった相手に、戦い方どうこうももちろんありますが、それ以前に根本的な気合いみたいな、根性みたいな……。危ないところで１歩足を出してつぶすとか、そんな負けず嫌いみたいなものが、９０分の中の大事な場面で求められる。それが地味に足りないのかなと思います。

（その問題点を改善するためにどう働き掛けていく？）やはり短期的に解決するような問題でもないと思います。明日、人が変身することはありえないわけで、そこは積み重ねだと僕は思う。長期的なプロジェクトで言うと、やはりＪリーグの選手がもっと海外に出ていくことが必要です。何度も言っていますが、必ず必要なアプローチです。

　これを言うと、いつもＪリーグを批判していると言われるんですけれど、サッカーの質が違うのでね。別にＪリーグの質が悪いということではなくて、全く別の質なんですよね。別の質に慣れるってことをしないと、やっぱり国際大会は別の質と戦うわけなので。だから、対外国人に慣れる選手がもっと多くなるということは、この（Ｗ杯）予選では何の解決にもならないかもしれないですけれど、また別プロジェクトとして日本が真剣に考えないといけないところだと僕は思っています。

（今日の先発メンバーは半数以上が海外組だが）今の状況って、海外である程度試合に出ていたら、日本代表でレギュラーになれる状況ですよね。例えば、毎年１００人くらい日本から（海外に）行き、レギュラーも５０人いて、そこから誰を選ぶのか、というような状況が、例えば南米なんですよね。もっとですね、南米は。僕の経験上、ブラジル人がいないチームはないので。でも今は、僕ら含め、海外である程度レギュラー争いをしている選手であれば、よほどのことがない限りは日本代表に選んでもらって、そこで試合に出られる。それだけじゃ足りないということですよね。レギュラー争いが厳しくなって、海外で活躍することがむしろ当たり前くらいになる中で欧州の選手もやらないといけないと思います。

「動きの変化を加えなければいけなかった」

（初戦敗戦ということでかなりのダメージがあると思うが）そうですね。でも、この結果を受け止めるしかないので。僕たちは次の試合に向けてやるしかないと思っています。

（今日はあまりボールが入らなかった印象だが）そうですね。前半はなかなかスペースがなかったので、自分が受ける場面が少なかった。それは次の課題ですが、こういう戦いがある可能性は十分あるので、この中でしっかりと結果をチームとしても個人としても残さなければいけない。９０分通して、結果を残せなかったのはすごく悔しいです。

（いつもよりポジションを変えずに真ん中にいたが）そうですね。両サイドバックも高い位置を取って、キヨ（清武）も（本田）圭佑君も中に入ってきていたので、そういう意味ではポジションをうまく修正することが僕自身、必要だったのかなとすごく感じます。動きの変化を試合の中から加えていかなければいけなかったのかなと。そこは課題というか、反省ですね。もっとハッキリした動きをすれば、絡める場面が増えてきたんじゃないかなと思います。

（判定に苦しめられた？）それはしょうがないですね。僕たちが言えることではないですし、こういうのも想定内だと思っています。（試合後に）特に僕は何も言ってないです。これは受け入れるしかないですし、それが僕たちに続いたのは結果論なので。それはもうその時の試合でしか分からないですし、それをどうこう言ってもしょうがないので。切りかえてやるしかないと思っています。

「すり合わせが必要」

　負けたので悔しいです。（周りとの連係がズレていたが）その通りだなと思います。ただ、思うこともあるので、そういうところは話していかないといけないと思います。

（思うところ、というのは？）パスがずれたと言われましたが、動かずに待っていてもらえれば……、というところだった。けれど、受け手は背後を狙いたい、というのがあると思いますし、そういう部分のすり合わせは必要だと思います。

（スタメンは今日言われた？）練習でなんとなく思っていました。重いことなんだろうなとは思いますが、そこまで経験があるわけではないので、僕は僕らしく、全うしようということを心掛けて試合に臨みました。みんながすごくポジティブな声をかけてくれたので、緊張はそこまでしなかったです。

（横パスをカットされて失点につながってしまったのと、ＰＫの場面を振り返って）横パスをカットされてＦＫになって失点しましたし、ＰＫの場面は僕と（香川）真司君２人でいったので、そこはなんとか止めなくてはいけなかったなと思います。

「抱えている問題を克服しなければいけない」

（ダイレクトプレーが多かったが、チームとしての狙いは？）話し合いながらでしたが、細かくやり過ぎた。もっと落として、シュートでもよかったのかなと思います。ペナルティーに入って、まだつないでいる部分もあったので。だからと言って、簡単にクロスを入れれば弾かれるし、２失点目をしてからは焦ったサッカーの展開になってしまった。そこで自分たちでコントロールして、もうちょっと狙いのあるサッカーをしていかないといけないと思います。

　厳しい最終予選（という舞台）で２失点してしまうっていうのは、一番きつかったかなと思います。もちろん返さなければいけないですけれど、たとえこの試合を勝っていたとしても、厳しい試合になったと思います。２失点しているので。今後もこういうサッカーになってくると思いますが、自分たちがこれを克服することができれば、Ｗ杯（ブラジル大会）のギリシャ戦で点を取れなかったように（０−０）、世界で勝つために何か大事なものがあると思う。ここ（最終予選）を突破するためにも、自分たちの抱えているこの問題を克服しなければいけないと思います。

（壁をクリアするために必要なものは）決めるところで決めて先行していかないと、自分たちが有利に……（ならない）。自分もクラブで点を取る役をやらせてもらっているわけじゃないですし、そこがまだまだ感覚的に足りない部分だと思います。頭ではアイデアが浮かんでいるんですけれど、なかなか感覚的にはまだ追いついていない。今日は負けてしまいましたが、こういう役を繰り返しやらせてもらって、自分の感覚をもっと研ぎ澄ましていき、１本１本のシュートとかトラップとかに磨きをかけていかなければいけないと思います。

　対策されているというか、日本は結局、相手に引いて守られるので、そこを自分たちが克服していかないといけない。背が高いＦＷがいるわけではないので、簡単にクロスを上げるのではなく、もっと精度を上げていくしかない。コンビネーションもそうですし、細かくやり過ぎずに、どこかでミドルを打つとかの工夫が必要だと思います。難しい問題かもしれないですけれど、確実に予選突破するには、自分たちがアクションを起こして、やり切らなければいけない。自信を持ってやらないといけないし、これで揺らぐくらいだったら予選突破できないと思うので、やり続けたいと思います。