全米OP、2強に対抗できるのは誰か “錦織世代”のプライドと実力に期待
再び熱視線は“錦織世代”
長い欠場から復帰したデルポトロ。全米オープンではもっとも恐ろしいノーシードになるだろう 【Getty Images】
ツアーの中心であった選手たちが次々と30代に突入。グランドスラムのタイトルこそないが、常に頂点をうかがう存在だったトマーシュ・ベルディハ(チェコ)は、マリン・チリッチ(クロアチア)と別れたばかりのゴラン・イバニセビッチ氏をコーチにつけて新たな意気込みを見せていたが、不運にも最近になって虫垂炎と診断され、全米オープンの欠場を発表した。
ビッグネームの高齢化という現実を踏まえ、ツアーは昨年あたりから10代後半から20代前半の“ニュージェネレーション”を積極的に売り出してきた。今季トップ10入りを果たしたドミニク・ティエム(オーストリア/22歳)を筆頭に、アレキサンダー・ズベレフ(ドイツ/19歳)、ニック・キリオス(オーストラリア/21歳)、ルーカス・プイユ(フランス/22歳)といった面々が代表的だ。
しかしここにきて、“錦織世代”が再び熱い。話題を引っ張るのは、冒頭でも触れたデルポトロ。7年前に優勝したニューヨークに、ワイルドカードを得て3年ぶりに戻ってくる。いきなりビッグネームとの対戦もありえるが、もっとも恐ろしいノーシードであることは間違いない。
また、ウィンブルドンで準優勝したミロシュ・ラオニッチ(カナダ)は、大躍進のカギとなったジョン・マッケンロー氏とのコーチ契約を継続し、全米オープンでも共に戦うというから楽しみだ。
シンシナティでマスターズ初優勝を果たしたチリッチも忘れてはならない。五輪は3回戦でガエル・モンフィス(フランス)に敗れたが、シンシナティの決勝では、五輪の疲れが残るマリーを破った。
そして、彼ら以上にコンスタントな好成績で上位をキープしてきたのが錦織である。すでに得ている安定した評価の先に、まだ“驚き”があるはずだ。
ただ、やはりジョコビッチが本命であるという見方が揺らぐことはない。手首のケガは気がかりだが、五輪前のトロントでは通算30回目のマスターズ優勝を果たしている。シンシナティの欠場を決めたあと、「数週間後にはもっと強くなって復帰できるように全力を尽くす」とフェイスブックでファンにメッセージを送ったジョコビッチ。きっとその通りに復活するに違いない。
ジョコビッチとマリーという圧倒的な2強に対抗できるのは誰か。ニュージェネレーションはまだ到底及ばない、数々の経験を積んできた“錦織世代”のプライドと実力を大いに見せてほしい今年の全米オープンである。