「最高の陣容」で期待が膨らむバルセロナ ネイマールは金メダルを携えて帰還へ

戦力バランスが整ったバルセロナ

今季はスーペルコパ・デ・エスパーニャを制し、最高のスタートを切ったバルセロナ。戦力バランスも整っている 【Getty Images】

 ネイマールはこの決勝で見事な直接フリーキックを決めただけでなく、PK戦ではブラジル史上初の金メダルをもたらす最後のキッカーも務めた。こうしためぐり合わせは、まだ24歳である彼のキャリアが今後も輝かしい瞬間に満ちたものになることの暗示のように思えた。

 実際、ネイマールはバルセロナでもリオネル・メッシの後継者としての立場を着々と確立しつつある。それはもちろんクラブにとって素晴らしいニュースである。

 今季のバルセロナは2試合合計5−0でセビージャを下し、スーペルコパ・デ・エスパーニャを制する最高のスタートを切った。ホルヘ・サンパオリ監督が率いるチームの定番であるセビージャの厳しいハイプレスには苦しめられたが、選手たちのテクニックを生かして相手の守備網を突破し、地力の差を示してみせた。

 ダニエウ・アウベスが去り、クラウディオ・ブラーボの移籍も決まったとはいえ、今季のバルセロナは昨季に比べて各ポジションの戦力バランスが整った印象がある。とりわけ攻撃陣はデニス・スアレス、アンドレ・ゴメスが加わり、アルダ・トゥランの貢献度も増した。そこに心身ともに充実した状態のネイマールが戻ってくるのだから頼もしい限りである。

アトレティコ・マドリー、セビージャはタイトル争いに加われるか?

アトレティコ・マドリーは開幕戦を予期せぬドローで終えた。今季は最後まで2強のペースに付いていくことができるだろうか。 【Getty Images】

 開幕前、ルイス・エンリケ監督は今季のチームを「自分が率いた中で最高の陣容」と評価していた。それでもバルセロナが各コンペティションで手ごわい強豪との競争を強いられることに変わりはない。

 リーガ・エスパニョーラでは最大のライバルとなるレアル・マドリーが開幕戦からレアル・ソシエダにアウェーで3−0と完勝。クリスティアーノ・ロナウドやカリム・ベンゼマが不在の中、マルコ・アセンシオ、アルバロ・モラタら出戻り組の若手がBBC(ガレス・ベイル、ベンゼマ、C・ロナウド)のポジションを脅かす活躍を見せている。

 不透明なのはアトレティコ・マドリーとセビージャがタイトル争いに加わるかどうかだ。前者はアラベスとの開幕戦で予期せぬドローに持ち込まれ、早くもホームで勝ち点2を失った。後者はホームでエスパニョールに6ゴールを挙げて勝利したが、UEFAスーパーカップとスーペルコパ・デ・エスパーニャを合わせ、これまで公式戦4試合で計12失点している。

 この2チームが最後まで2強のペースに付いていくことができなければ、再びリーガは長年そうであったように2強の独占状態に戻ってしまう。それは今や誰の利益にもならないことである。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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