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リーグ屈指の強肩捕手もうなる盗塁技術 成功率100%を維持する大谷流「盗塁の極意」

丹羽政善

5月21日のレッズ戦、三塁に盗塁を試みた大谷翔平 【Photo by Keith Birmingham/MediaNews Group/Pasadena Star-News via Getty Images】

 イチローさん(現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)がヤンキース時代、クスッと笑って打席を外したことがある。2013年のことだ。

 証言したのは、そのときマスクを被っていたブルージェイズのJP・アレンシビア。22年までマーリンズの解説を務め、昨年からメッツの3Aでベンチコーチを務めているアレンシビアは、14年にレンジャーズへ移籍。そのときに教えてくれた。

 どうして笑ったの?

「あいさつしただけだよ」

 なんて?

「イーヨ、イーヨ、マツモトイヨ」

 100%、チームメートだった川崎宗則(栃木ゴールデンブレーブス)の影響である。

2013年のイチローさんと川崎宗則 【Photo by Jim McIsaac/Getty Images】

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 5月20日(現地時間、以下同)の試合前、ウォーミングアップ中の大谷翔平(ドジャース)が、近づいてきたエウヘニオ・スアレス(ダイヤモンドバックス)と笑みであいさつをしていた。

 どんな言葉を交わしたのか。5月21日の試合前、旧知のスアレスがニヤニヤしながら、「ヒサシブリ」と声をかけてきた。彼は、18年に日米野球で来日してからすっかり日本が気に入り、将来は日本でプレーすることも意識し、日本語で簡単な挨拶も出来る。

 で、大谷とのやり取りだが、「若い子たちがスラングで交わすあいさつだよ、分かる?」と、聞くまでもなく向こうから話を振ってきた。パッとは思いつかなかったが、こちらの解答が待ちきれなくなったスアレスが、先に正解を口にした。

「クソヤロウ」

 たぶん、違う。

「えっ?!」

 俺は日本語のスラングも知ってるんだよーーそんなドヤ顔が、一瞬で曇った。

「昨日、大谷にそうやって声をかけちゃった」

 大谷も間違いに気づいて、笑い飛ばしたか。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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