ブロック向上もスパイカー生かせず 大山加奈が見た女子バレー・ロシア戦

田中夕子

ロシアにストレート負けした日本。この試合ではブロックが効果を発していた 【写真は共同】

 リオデジャネイロ五輪のバレーボール全日本女子は日本時間13日(以下同)、グループリーグ第4戦となるロシア戦に臨んだ。ここまで3連勝を収め勢いに乗るロシアに対し、日本はセットカウント0−3でストレート負けを喫した。

 日本が完敗した要因は何だったのか。勝利した方が決勝トーナメント進出を決めるアルゼンチンとの最終戦のポイントは?2004年のアテネ五輪に出場し、現在はバレーボール中継の解説などを務める大山加奈さんに語ってもらった。

守備ではもっと明確な約束事を

 すでに決勝トーナメント進出を決めているロシアだけに、日本に対し終始余裕を持って戦っていました。第1セットからさほど調子が良かったわけではなかったと思います。ロシアは、スパイクの高さはあっても下に打ちつけていたので日本のブロックもワンタッチを取ってラリーにつなげていましたし、抜けたコースはレシーブで上げていました。でも、あの高さを生かしたサーブには苦戦を強いられました。

身長が高いだけでなく、手も長く、高い打点から打たれるロシアのフローターサーブはレシーブをする選手としては非常に軌道が読みにくい。日本人選手が同じように打つサーブならば後ろに伸びてくる、と思って後方に構えていると、スーッと前に落ちてしまう。何本か、ノータッチで前に落とされたサーブはまさにそんなサーブでした。

 しかも当然ながら正面に打つのではなく、人と人の間や前後のスペースなど、取りにくい場所を狙ってくる中、日本はウイングスパイカーとリベロの間に狙われてサービスエースを取られるケースが多く見られます。どのチームもサーブで崩そうとしてくる中ではありますが、だからこそ人と人の間はリベロが取りにいく、といったように明確な約束事を決めた方がいいと思います。

 特に木村(沙織)選手は自信が前衛、後衛時に限らず、サーブレシーブや、相手の攻撃を受ける1本目のレシーブを自ら取りにいってしまうケースが多く、バックアタックや攻撃参加が遅れてしまう場面が頻繁に見られます。ウイングスパイカーを万全な状態で攻撃に入らせるためにも、ここはリベロの佐藤(あり紗)選手にもっと積極的にいってほしい。次戦、さらには決勝トーナメントを戦うために、早急に改善すべき課題と言えるのではないでしょうか。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

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