【W-1】武藤と秋山が全日本プロレス分裂後3年ぶりに対戦 KAIが新鋭・稲葉に敗れW-1王座から転落

高木裕美

デビュ−3年の新鋭・稲葉がW-1王座初戴冠

デビュー3年の新鋭・稲葉がKAIを破りW-1王座を奪取 【前島康人】

 メインイベントのWRESTLE−1チャンピオンシップ王座戦では、デビュ−3年の新鋭・稲葉大樹が王者・KAIを破り王座初戴冠。プレッシャーと不安をはねのけての勝利に、リング上で男泣きした。

 当初、同王座には7.1後楽園ホールで行われた「WRESTLE-1 GRAND PRIX 2016」決勝戦で2連覇を達成した征矢学が挑戦予定だったが、今月4日の王道プロレス・弘前大会の試合中に右肩を負傷。右肩鎖関節脱臼及び靭帯損傷で全治2カ月と診断された。そのため、6日の小田原大会で行われた近藤修司との次期挑戦者決定戦を制した稲葉が、いきなりのビッグチャンスを手に入れた。

【前島康人】

 開始5分過ぎ、KAIがトペスイシーダから花道でのランニングラリアットを狙うと、稲葉も卍固めを仕掛けるも、KAIが振り切ってブレーンバスター。さらに顔面ウォッシュを繰り出すが、稲葉もすぐさま顔面ウォッシュからの串刺しドロップキック3連発で倍返し。

 KAIはトラースキック、投げ捨てジャーマン3連発からファイヤーサンダー、パワーボムとたたみかけるも、稲葉はコーナーでの攻防で粘り腰を発揮し、雪崩式のフィシャーマンズスープレックス。KAIのスプラッシュプランチャをかわし、ジャーマンスープレックス2連発から極反り卍固めでとらえる、王者をついにタップさせた。

 ベルトを初めて腰に巻いた稲葉は「ずっとプレッシャーと、KAIさんと征矢さんを超えられるかという不安で毎日きつかった」と、大役を果たした安堵感から号泣。「今日を迎えて本当に良かった。これからまだまだ、やることはいっぱいあるけど、WRESTLE−1にまた来たいと思われるようにしたい」と新王者としての抱負を語った。

「イケメン試練の七番勝負」は飯伏

飯伏との初対戦で新境地を切り開いた黒潮“イケメン” 【前島康人】

 異色の対決が続く黒潮“イケメン”二郎の「イケメン試練の七番勝負」第六戦では、飯伏幸太(飯伏プロレス研究所)と対戦。フリー転向後、団体や国境を飛び越えて幅広い活動を続ける飯伏と触れることで、黒潮が新境地を切り開いた。

 いつも通りのスタイルを貫く黒潮は、飯伏にショルダーで倒されても、ヘッドスプリングで起き上がって笑顔を見せると、飯伏を場外へ落としてトペコンヒーロ。しかし、飯伏も場外戦で血が騒いだのか、2階バルコニーへ上がり、手すりにぶら下がった黒潮の手を踏みつけて床へ落とすと、バルコニーからのムーンサルトアタック。飯伏らしい破天荒な戦いに、客席からも大きな歓声が上がった。

飯伏の破天荒ファイトに大歓声

W−1初参戦の飯伏の破天荒ファイトに大歓声 【前島康人】

 ならばと黒潮も側転エルボー、フェースクラッシャー、ムーンサルトアタックなどを繰り出すと、さらに雪崩式フランケンシュタイナー、ムーンサルトプレス。しかし、2発目は飯伏に剣山でブロックされ、飯伏がハイキック、変形ツームストンからのシットダウン式パワーボムでマットに沈めた。

最終戦に師匠・船木を指名

【前島康人】

 試合後、リング上から飯伏に対し、再戦を要求した黒潮は、「試練の七番勝負」最終戦となる第7戦の相手として、師匠・船木誠勝を指名。すでにWRESTLE−1を退団し、現在はフリーで活動する船木に対し、「連絡を取らずに1年。まだ早いかもしれない。いつになるか分からないけど、オレがチャンピオンになったら、チャレンジャーとして船木さんを迎えたい」と、先の将来での対戦実現を訴えた。
 また、久々の日本マット登場となった飯伏は「面白かった。リング外の部分も含めて楽しかったです。またシングルマッチでやりたいですね」と笑顔。「僕が若い時、20代の頃の感覚を思い出した。あの頃のイメージが蘇りました。収穫があった」と、この戦いで得たものを、国内外の戦いで生かしていきたいと語った。

海外武者修行帰りの児玉がクルーザー王座奪取

【前島康人】

 WRESTLE−1クルーザーディビジョンチャンピオンシップでは、1年間の海外武者修行から帰国した児玉裕輔が、王者・鈴木鼓太郎を破り王座初戴冠。これまで5度の防衛に成功していた外敵王者から至宝を奪い取った。

 昨年5月よりアメリカ、カナダで修行を積んできた児玉に対し、鼓太郎は完全に格下扱い。ふてぶてしい態度で顔面を蹴り上げると、児玉のハンドスプリングエルボーに即座にビットで対抗。地獄の断頭台、ファンネル、ツームストン、エルボーでダウンを奪い、「もう終わりか」と馬鹿にするかのように顔面を張っていく。しかし、児玉はエンドレスワルツ、タイガードライバーをこらえると、リバースフランケンシュタイナー、ハイキック、垂直落下式ブレーンバスター。なおも粘る鼓太郎をサーヴィカルブレイクで仕留めた。

 次期挑戦者には吉岡世起、アンディ・ウーが名乗りを上げたため、児玉は19日の新宿FACE大会での挑戦者決定戦を提案。「鼓太郎さんのように対戦相手の限界まで引き出させるようなチャンピオンになりたい。日本だけではなく、世界にもWRESTLE−1という団体を広めていきたい」と、理想の王者像を語った。

大和の復帰戦はホロ苦い結果に

 昨年3月より頚椎損傷の疑いで欠場していた大和ヒロシが約半年ぶりに復帰。東京愚連隊を相手に戦うも、ほろ苦い結末を迎えた。
 大和はWRESTLE−1クルーザーディビジョン王者であった今年3月、試合中に首から相手に突っ込んでいく技「一直線」を放った際に頚椎を負傷。復帰戦では自ら先発を志願し、串刺しヘッドバット、スパイダージャーマン、ダイビングクロスチョップなどを放つも、一直線は封印。最後は愚連隊の連携攻撃からのMAZADAの正田落としに沈み、敗北からの再出発となった。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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