金メダルの大野「自分を貫いた」 柔道大野、銅メダル松本コメント

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金メダルの大野は「自分のスタンスを貫いた」とコメント 【写真:ロイター/アフロ】

 リオデジャネイロ五輪の柔道は日本時間9日、男子73キロ級の決勝戦と女子57キロ級の3位決定戦が行われ、大野将平(旭化成)が金メダル、松本薫(ベネシード)が銅メダルを獲得した。

 大野は決勝でルスタム・オルジョイ(アゼルバイジャン)に小内巻き込みで一本勝ち。「中量級の僕でもインパクトのあるダイナミックな柔道、本当に強くて美しい柔道をできるんだということを証明したかった」と語るとおりのフィナーレを飾った。

 今大会の日本柔道チームにおける初の金メダルとなったのと同時に、日本男子柔道にとっては2大会ぶりの金メダルとなった。2人のメダル獲得によって、日本柔道はこの日まで行われた6階級全てでメダルを獲得したことになる。

 以下、競技終了後の大野、松本のコメント。

大野「自分を貫き、孤独と戦った」

 達成感より安心感の方が強い。いつも通りにやるということを心がけていました。今年は「圧倒的な差」を目標に掲げてやってきた。その稽古を日本で積み重ねてきた自信はあったので、五輪で出すだけでした。皆さまや周囲から「勝って当たり前」じゃないけれど、そういう声も聞こえていた。そのプレッシャーに打ち勝つことができて、人間としてひと皮むけることができたのではないかと思います。まず、井上(康生)ジャパンの一員として誇りを持って戦うことが大事。最強かつ最高の選手を目指す集団なので、そういう目標に少しは近づけたのかなと思います。(ガッツポーズが出なかったが?)相手がいる対人競技なので、相手を敬おうと思っていました。冷静にきれいな礼もできたのではないかと思います。日本の心を見せられる場でもあるので、よく気持ちを抑えられたと思います。

(表彰式を終えて)井上監督と(母校である天理大学の)穴井隆将監督に会ったら、泣けてきました。井上監督には、よくプレッシャーに耐えたと言ってもらいました。穴井監督は、本当に一番身近で兄貴みたいな存在です。すべて苦しいことも辛いことも共有してきた仲で、4年前のロンドン(※穴井は2回戦で敗れ、日本男子は金メダルなしに終わった)は僕も実際に会場で見ていました。穴井先輩の分も、ではないけれど、本当に2人でつかんだ金メダルだと思います。(表彰式でメダルをかけてもらったときは)重みがありました。でも、これからだぞという気持ちの方が今は強いです。勝った涙というか、今までのことが思い出せて泣けてきました。ここまでは長かったけれど、あっという間でした。(組んで投げて一本で勝つ、日本の柔道を体現したが?)実際に自分の柔道を見ていないけれど、逆に聞きたいです。どうでしたか? 日本柔道は、やはり重量級がピックアップされる。そういった面で悔しい部分もありました。軽量級というか、中量級の僕でもインパクトのあるダイナミックな柔道、本当に強くて美しい柔道をできるんだということを証明したかったし、柔道界のシンボルみたいな選手になれるように、これからも精進したいです。(もともとは超エリートではないが、ここまで上り詰められた要因は?)負けん気ですかね。心が折れなかったことです。

(自分の強みは?)今日にいたっては、気持ちが折れなかったことです。そして、いつも通り冷静かつ大胆にやれたこと。一番は、集中、執念、我慢。この3つだと思います。また、それだけじゃなくて、(初めて世界選手権を制した)2013年から「心・技・体」で外国人選手に全部勝って、圧倒的な差を付けるということを目標にしていたので、自分では分からないけれど、皆さんにそう思っていただけるならありがたいです。(一昨日、昨日は日本勢が金メダルを取れなかったが、どう感じたか?)井上ジャパンの流れとかはもちろんあるけれど、良い意味で孤独になれて、あまり気にせずに自分は自分というスタンスを貫きとおして、孤独と戦っていました。(日本柔道の強さをあらためて示せたのでは?)そうだとうれしいです。

(今後は)金メダリストとしてふさわしい人間に、もっともっと成長しないといけない。最強かつ最高の選手、子どもたちに憧れられるような選手を目指しつつ、少し休んでから東京五輪のことは考えたいと思います。

松本「甘酸っぱい銅メダル」

銅メダルの松本は「甘酸っぱい」と悔恨ものぞかせた 【写真:ロイター/アフロ】

(銅メダルの味は)甘酸っぱい。悔しさと、メダルを取った安心感と……。銅かあ、と。結果は結果なので納得するしかないのですが。ああ、終わったあ、と。(4年前と今大会の差は?)違っていたのはたぶん(ドルジスレンスミヤとの)準決勝のときに一瞬の隙を作ってしまったこと。(背負いにやられたが)相手が一回目の背負いに入ったときに全然効いていなかったので大丈夫と思ってしまって、その一瞬の気の緩みのせいで2回目の背負いにきたときに反応できなかったのだと思います。ストンと入ってしまった。試合中に「大丈夫」なんてことはない。でも思ってしまった。(相手に研究されていた?)いつもされているので、それは当たり前のことです。ちゃんと隙を作らずに自分の柔道をやれていれば……。今まで彼女と対戦したときは一回しか、それも自分の調子が本当に悪かった1試合しか負けていなかったので、どこかで勝てると思ってしまっていたんだと思います。

(五輪と他の大会との違いは感じるか?)技のきれが違うということはありませんが、何が何でもメダルを取りにいく執念には違いを感じます。(自分の執念はどう感じた?)それがあったからこそ、銅メダルを取れたのだと思っています。でも、腹の中は煮えくり返っていますよ(笑)。(自分らしい柔道はできましたか?)うーん……。たぶん……。でもまだちゃんと考えられていないです。

(体調は?)コンディションは良かったです。(準決勝では相手のどこを警戒していたのか?)どんどん攻めて指導を取りにくるのが彼らの戦い方。攻め合いになると思っていました。最後まで戦い切るというのが私の想定した戦いでした。(ここまで金メダルを逃した選手の分までという気持ちは?)もちろん、ありました。私たちは個人戦だけれど、団体戦のつもりで戦っています。みんなで金メダルを取りにいくという気持ちでやっていました。(前の階級の結果は影響した?)それは関係ないです。彼女たちが届かなかった分まで決勝へ行こうと思っていて、自分の力になっていたので、それは違います。

(連覇への気負いやプレッシャーは?)初戦からなかったですし、試合に関してはなかったと思います。ただ、試合に入るまでの過程について言えば、あったと思います。「ない」と自分に言い聞かせてきたけれど、実際はプレッシャーもあったんだと思っています。(この4年間を振り返ると?)しんどかったあ……。その一言。見えないもの。それを自分でどんどん作り出してしまっていたのだと思います。(今後については?)分かりません。(やり残したという思いがある?)それを言い出したら、きっときりがないと思います。

(いまやりたいと思っていることは?)いまパッと出てきたやつなのですが、試合前に明治製菓さんから(チョコレート菓子の)ガルボを本当にたくさんもらえて、本当に大量にもらえたので、もうこれをすごく気持ち悪くなるくらい食べられるんだな、と(笑)。それくらいですかね。(最後、スタンドのご家族には?)「ごめんなさい」をしました。
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