柔道の海老沼、中村が2度目の銅 メダルは「奥さんにかけてあげたい」

スポーツナビ
 リオデジャネイロ五輪の柔道競技は日本時間8日、男子66キロ級と女子52キロ級の試合が行われ、海老沼匡(パーク24)と中村美里(三井住友海上)がともに銅メダルを獲得した。

 男子66キロ級では、ロンドン五輪の銅メダリスト・海老沼が、準決勝で韓国の安バウルに対し延長戦の末に敗れたが、3位決定戦でアントワヌ・ブシャール(カナダ)から背負い投げで一本を奪い、2大会連続となる銅メダル。一方、女子52キロ級も中村が準決勝で今年のヨーロッパ選手権覇者マイリンダ・ケルメンディ(コソボ)に敗れたものの、3位決定戦で地元ブラジルのエリカ・ミランダを延長戦の末に破り、08年北京五輪以来2大会ぶりの銅メダルに輝いた。

 以下、試合後の海老沼と中村のコメント。

海老沼「気持ちの面で負けた」

2大会連続の銅メダルを獲得した海老沼匡は、準決勝の敗因を「自分の力のなさ」と振り返った 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 たくさんの人が、金メダルを取ることを期待してくれていたと思うので、銅メダルという結果に終わって本当に情けない思いでいっぱいです。ロンドン(五輪)は、若さもあってがむしゃらにつかんだ銅メダルでした。今回の銅メダルとは少し違うと思います。

――今回の方が悔しい?

 そうですね。でも、僕の中では最高の準備をしてこの時を迎えたので、悔しさはあるけど、最後まで腐らずに3位決定戦を戦えて良かったと思います。準決勝は(ゴールデンスコアに突入して)僕も安選手もきつい場面で僕が引いて、気持ちの面で負けてしまいました。あの一戦が心残り。一番引いてはいけなかった戦いだと思います。

――相手のかけ逃げが指導にならなかった。

 ああいうことをやってくるぞという意識の中で試合に臨んだので、(自分の)力のなさだと思います。

――リードしている中で最後に指導を取られて追いつかれたが?

 あと一歩、最後に一歩攻めないと指導を取られるというところ。そういう場面に追い込んだアン選手が一枚上手だったと思います。

――金メダルを取るために必要なものは?

 それを探し求めて4年間やってきたのですが、僕には分かりません。僕の中では4年間、ここで金メダルを取るために走り続けてきたので、その点に関して悔いはないです。でも、あの準決勝で気持ちで引いてしまった一戦は、僕の人生でも悔いの残る試合になると思います。

――3位決定戦の前の心境は?

 僕に期待して選んでくれた先生方がいるので、腐って負けるのも自分、最後まで戦うのも自分と思い(後者を)選びました。

――今後は?

 まだ全然考えられません。

――東京五輪は?

 少し休んで考えます。

――表彰台に上がった時の気持ちは?

 ロンドンのときは、悔しさでいっぱいで全然覚えていなかったです。この舞台に立てて、たくさんの人に応援していただきました。井上先生にも胸を張れということを言われたので、表彰台を記憶に残すような気持ちで表彰台に立っていました。

――ノーマークのイタリアの選手(ファビオ・バシレ)が優勝したり、強豪選手が次々に敗れたりしたことについて、どう思うか?

 五輪は、難しいですね。イタリアの選手は、まだジュニア上がり。ロンドンのときもそういう選手が勝ちました。何が起こるか分からないのが五輪。でも、今日勝った選手が一番強い。今日は、あの(イタリアの)選手が強かったということです。

――奥さんに、どんな思いがあるか?

 金メダルを取って喜びを分かち合いたかったです。銅メダルだけど、受け止めてほしいというか、一緒に頑張ってきたので、かけてあげたいと思います。

中村「成長した自分が勝てなかったのが悔しい」

2大会ぶりの銅メダルを獲得した中村美里(右から2番目)。左隣のケルメンディに準決勝で敗れた 【Getty Images】

――2大会ぶりのメダルは銅メダル、今の気持ちは?

 やっぱり金メダルが取りたかったんですけど、最後の3位決定戦に勝てたのは良かったなと思います。

――準決勝のケルメンディ戦では序盤に指導を取られ、追いかける展開になった。どのような4分間だった?

 取り返せる自信はあったんですけど、相手も必死でなかなか取り返せなかったし、今の実力だなと思いました。

――序盤以外は優勢に見えたが?

(相手の)力が強くてあのような組手になってしまったのがすごく反省点だと思います。

――足技以外があまり出なかったように見えたが?

 担ぎ技も練習してきて出してはいたんですけど、なかなか、かからなかったです。調子は悪くはなく、いつも通り戦えました。

――(初戦敗退に終わった)ロンドン五輪後の4年間、金メダルを見据えて練習してきたと思うが、今の気持ちは?

 ロンドンが終わってすぐにはリオを考えていなかったし、この舞台に立っているとは思っていませんでした。挑戦できたことは良かったですけど、目標を達成できなくて、やっぱり悔しいです。

――組手争いで相手の力の強さを感じた?

 力が強いのは分かっていたんですけど、思っていたより強かったというか……。(襟や袖を)持ってからはあまり(強さを)感じなかったのですが、切る力が強かったです。

――良い展開もあったが、紙一重だった。

 そうですね。やっぱり自分が良い組手になるのはほとんどないと思うんです。そこであまり出しきれなかったと思います。

――大会前に「4年間やってきて良かった」と言っていたが、この結果を受けてもその思いは変わらない?

 ロンドンを終えて手術とか、いろいろな経験をして、いろいろな人と会ってすごく幅が広がったので、4年間やってきて良かったと思います。

――これまでの2回の悔しさと今回の悔しさは違う?

 違いますね。北京(五輪)のときも悔しさを感じたんですけど、今回はいろんな経験をして成長した自分で戦って、勝てなかったのが悔しいです。
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