――五輪で楽しみにしていることは？

　やっぱり開会式は出てみたいですね。もちろんスケジュールにもよりますけど、出られたら良いなと思います。あの雰囲気はあそこでしか味わえないので。

　いつもはテニスの選手だけで集まっていますけど、五輪の選手村だったり開会式だったり、他のスポーツの一流の方と触れ合える。そういう機会は、僕の場合は特に日本にいなくてほぼ全くないので、そういう機会に自分が出られる。刺激を得られるし、話して感じるものもあるだろうし、（五輪の）試合中に自分が強くなれるぐらいのプレッシャーがもちろんかかってくるので、得られるものは大きいかなと思います。

――日本の他のメダル候補や競技で、気になる選手はいるか？　また、現地で観戦してみたい種目はあるか？

　やっぱり陸上を見てみたいですね。過去２大会とも時間がなくてどの競技も見に行けなかった。陸上、一番は１００メートルだったりです。桐生さん（祥秀・東洋大）とも少し交流があって、まだ若い彼の行動はいつも気にしていますし、頑張ってもらいたいです。

――桐生選手とはどういった交流を？

　最近はあんまり話せてないんです。けっこうおこがましいんですけど、アドバイスをしたり。彼も一気に注目されることが２年前くらいにあって、それでメンタル的に悩むところがあったみたいなので、そういうところで。そんなに大した話はできてないですけど、少しアドバイスというか、自分が感じた部分もたくさんあった。（自身も）たくさん脚光を浴びることが今までにいくつかあったので、自分が経験したことは話したりしています。

――五輪１００メートルでは日本人初の９秒台が注目されているが？

　見たいですね。けっこうそういう人は多いと思いますけど、１００メートルが一番盛り上がるというか、どれだけ速く走れるかというのは自分も興味があります。彼もそれだけの才能を持っていると思うので、ぜひ９秒台、見てみたいです。

――「五輪だと考えすぎずに」とのことだが、今まで２大会経験してきて、五輪ならではの注意点はあるか？

　自由時間が減るので、選手村で過ごして自分の集中する時間というか、いつもだったら１人で過ごしている時間が、選手村で過ごすことで、ちょっと面倒くさい部分ももちろんあるだろうし。そういうところは気をつかわないといけないので、大変さはあると思います。

　警備だったりいろいろな周りのこともあって、自分が思うような普段の行動はできないので、そこの違いはすごくあると思います。（そこが）あまりストレスにならないように、練習から、普段の生活をしたいと思います。

――現地について治安などネガティブな報道が出ているが、錦織選手にとってブラジル、リオデジャネイロのイメージは？

　僕は、ジュニアの頃にちょろっと１回しか行ったことがないので、まだまだ想像できない部分はたくさんあります。いろいろなニュースも見ていますし、もちろん怖さがないと言ったら嘘になりますけど。

　蚊（ジカ熱）に関してはあんまり心配しないですけど、たくさん犯罪が起きている国なので。でもさっき聞きましたけど、あんまりテロがなかったり、今までそこまで大きな災害があった場所ではないと聞いたので、安心できる部分もあります。

　また、日系人がすごく多いので、そういう安心できる部分と、少し怖い面とあると思うので。僕は選手村と会場しか行かないと思いますが、安全にいくことを願っています。

――選手村に泊まるということだが、ホテルに泊まらない理由は？　

　うーん、本当はホテルに泊まりたいんですけど（笑）、やっぱりブラジルの場合は安全面もあるので。僕が知らない人ともたくさん会いますし、協会側にそこは全部任せています。そういう面では選手村にいた方が安全ですし、しょうがないですね。

――錦織選手にとって、例えば四大大会と比べて五輪の価値とは？

　五輪は誇りと、日本人として出られる、あの場にいられる喜びのためだけなので。あと試合を通じて得られるものがたくさんある。前回のロンドン五輪ではベスト８までいけてたくさん自信も得られましたし、その前の北京ではすごく緊張して硬くなってしまった苦い思い出もあって、そういうのを経験して今がある。

　なんとも言えない、五輪ならではの重さがありますね。今回の五輪も楽しみにしていますし、もちろんメダルも目指して頑張りたいと思います。

――やはり目標は金メダル？

　……はい（笑）。