ロッテのドラ1ルーキー・平沢大河の今 「2軍でしっかり土台を作る」

千葉ロッテマリーンズ

フルスイングの原点は恩師の言葉

2軍ではバッティングのみならず、守備、走塁面でもレベルアップを図る 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

 とにかく振る――。平沢のスイングの原点は、仙台育英高時代にある。

 仙台育英高の佐々木順一朗監督は、入学してきた平沢のスイングを見て、「そこまでフルスイングしなくてもいいだろうというくらい、すごいスイングだ」と驚いたという。

 ところが、試合になると、そのスイングが見られなかった。佐々木監督は打撃練習をしている平沢に「そのスイングがあるのに、どうして試合では振らないんだ?」とたびたび言っていた。

 1年春、チームが千葉県へ遠征したときのこと。習志野高との練習試合で、佐々木監督は平沢に「1年生なんだから、結果じゃないだろう。三振してもいいから、とにかく振ってこい!」とアドバイスした。

 その試合で、平沢は右中間へ本塁打を放った。平沢はこのときのことを鮮明に覚えている。

「自分としては、そんなに振れていないという感じではなかったんですよ。でも、中学生とは違って高校生の球は速かったので、当てにいっていたんでしょうね。佐々木先生の言葉で、振ることが大事だとあらためて思いました」

 それ以来、平沢は「とにかく振る」ことを常に意識している。

「球を見て、見て……というより、まずは振ることが一番。振ることでタイミングや打ち方の修正ができる。試合のなかで振ることで、力がつくと思っています。ただ、フルスイングとオーバースイングは違います。100%の力で振るのがフルスイング。それ以上の力で振ろうとすると、オーバースイングになる。無駄な力が入り、スイングもおかしくなります。試合では100%の力で、自分の形を崩さずに強く振ることを心がけています」

フレッシュオールスターでMVP宣言

14日に行われるフレッシュオールスターでは「MVPを取る」と力強く宣言 【写真提供:千葉ロッテマリーンズ】

 1軍では5月20日のオリックス戦までの10日間で、6試合に出場。9打数ノーヒットに終わった。

「1軍と2軍には、すごく差があります。直球の速さや変化球のキレなどは、2軍とは違うんだろうなと思っていましたが、その予想のさらに上でした。差を知り、それを意識しながら2軍でできるので、1軍のレベルを間近で見られたのはすごく大きいことでした」
 同じ高卒ルーキーのなかには、東北楽天のオコエ瑠偉のように1軍でプレーしている選手もいる。しかし、平沢に焦りはない。2軍で内野守備・走塁を担当する佐藤兼伊知コーチからも「息の長い選手になるには、基礎をしっかりしないとダメだ」と言われているという。

「1軍にいた方がいいこともあるし、2軍にいた方がいいこともある。今は、2軍で教わっていることを身につけていこうと考えています。3年目くらいには1軍で定着したいですね。そのために、まずこの1、2年は2軍でしっかり土台を作る。そこから勝負したい。まずはしっかりとやることをやってから、という感じですね」

 平沢は7月14日、岡山マスカットスタジアムで開催されるフレッシュオールスターゲーム2016に出場する。過去、ロッテの選手では01年に里崎智也、03年に今江敏晃(現東北楽天)、13年に加藤翔平、14年に井上晴哉がMVPを受賞している。平沢も先輩たちに続こうと、意気込んでいる。

「各チームから3人しか選ばれないなかで選んでいただいて、すごく責任を感じています。思い切ってプレーして、MVPを取ります」

 1997年12月24日生まれの平沢は、まだ18歳。だが、とても18歳には見えない落ち着いた話しぶりが印象に残った。それは、この半年間、濃密な日々を過ごしてきたことの証だろう。

 上ばかりを見ていると、何かにつまづくこともあるかもしれない。しかし、平沢は足元をしっかり見つめて、一歩ずつ、着実にプロの世界を歩もうとしている。

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