川淵会長「常識にとらわれるな」 Bリーグ36クラブ代表者決起会
川淵「スタートダッシュを死ぬ気でやれるかどうか」
会見後には川淵会長(右)と大河チェアマンの囲み取材が行われた 【スポーツナビ】
――今日、各クラブの代表者と顔を合わせた印象は?
川淵 久しぶりに顔を見たんだけれども、スタートから頑張るぞという顔をしていた。そうでなければ困るんだけれど、そういうふうな表情の社長が多くて一安心した。こういうので一番大事なのは何かというとね、スタートダッシュなんだよ。スタートダッシュでガーンととりあえず盛り上げて、この3年間死ぬ気でチケットを売りに売りまくって、やはりやれることをすべてやって、選手の練習量も含めて、地域の密着度も含めて、3年間死に物狂いでやって初めてある程度のレベルで世間から認知される。そこから次のステップを考えればいいので、徐々にリーグの認知度を高めていこうなんていうのは、絶対に成功しない。絶対に成功するためには、スタートダッシュ、スタートダッシュ3年間! これを死ぬ気で各クラブがやれるかどうか。
要するに、なんだかんだと言い訳なんか一切許さない。「死ぬ気でやれ、この3年間!」という感じですね。そうしたらもう、あとはその流れでいきますから。一番初めにガーンといかないと、そのエネルギーがないようじゃ成功しない。それはもう絶対に成功すると信じています。
大河 人生勝負する時なんて、そんな人生の中に何度もなくて、この36クラブの社長、われわれ、人生の1回か2回、大勝負をする時のタイミングだと思います。会長がおっしゃるように、死ぬ気で本当にやらなければいけないと思いますし、今までこうやっていたということを本当にクリアにできるかどうかかひとつの勝負どころだと思うので、前例墨守(ぜんれいぼくしゅ)せず、新しいことにチャレンジする。それでいきたいと思います。
――成功というのは、何をもっていうのか?
川淵 成功というのは観客動員がどれだけ達成できたかが全てで、数字で表されるものが成功のもとですよ。抽象的になんとなく人気が出たな、今までよりは世間の認知度が上がったなとかいうことではダメで、はっきりいって観客動員数に尽きる。あとはマスコミの皆さんが、新聞、テレビ、雑誌、その中にどれだけのボリュームでBリーグが露出されるか、それに尽きます。非常にはっきりしていますね。
――Jリーグの発足当時と比べて、川淵さん自身の手ごたえは?
川淵 Jリーグは準備の時間がかなりあって、スタートする前にもプレシーズンがあって、1992年にナビスコカップを1年間やって、93年からJリーグがスタートするわけですよね。92年の時にだいたいの様子が分かって、次のステップに飛躍できるなという過程があったわけなんですよ。
Bリーグはこの5月まで(NBLとbjリーグの)プレーオフが継続してあったということで、新しいBリーグに向かってのスタートは6月から始まるという感じになりますよね。この短期間でどうBリーグをマスコミを通じて世間に認知してもらえるか。そのへんの差はかなりJリーグと比べてハンディキャップがあると思うんだけれど、ここはノーとは言っていられない。なんとしてもマスコミの皆さんに訴えて、そして選手の名前と顔をいかにして露出してもらうか。これが大きな勝負かな思っています。
――各チームの準備具合は?
大河 なかなか一口では言えないですけれども、9月から半年ちょっと実行委員会を重ねてきていますし、Bリーグが目指している方向は共有できているはずです。われわれもメディアの皆さんに訴え掛けるというようなことを一生懸命やりますけれども、あとは地元地元で、どういうふうに地域にアピールしていくか、お客さんに来てもらえるようにするか、その最終準備段階に来ているかなと思います。
ホームアリーナが決まって、一部は5000人以上のところで8割(試合が)できるということが、(各地方自治体の)首長さんなんかに認めてもらったところで、もうだいぶ前進しているわけです。あとはそこにちゃんと足を運んでもらえるように、アピールをしっかりやってもらいたいと思います。
大河「選手は自分を売り出すチャンスが来た」
大河 僕はJリーグができた時、観客でしたけれども、読売クラブ(現東京ヴェルディ)というのが当時あって、マツダ(現サンフレッチェ広島)というチームと昔やっていた。それがサンフレッチェ広島になった瞬間に同じ人間とは思えないくらい走る。必死になってやっていく。これがプロ化なんだなあと思ったと、柱谷(哲二)さんや都並(敏史)さんが当時言っていました。僕はそれを選手に求めたい。特に代表の選手には、チームプレーも大事だけれど、エゴイストになれと。自分を売り出すチャンスが来たんだし、自分の努力が自分の年俸に跳ね返るんだから、失うものがないんだから必死にやってくれと言っています。そのことがある意味、精神論的なことかも分からないけれども、第一歩として大きいことだと思います。
少し中期的に時間をかけながら、育成システムであるとか、フィジカルのトレーニング方法であるとかは、こういったことはJBAも含めてしっかり対応していきますので、必ずやプロと代表が両輪になって強くなっていけると信じています。
――これはクラブがやることかもしれないが、手本というか、手っ取り早い方法として、NBA選手を呼ぶといったことも必要になってくると考えているか?
大河 技術面もそうですし、メンタル面もそうですけれど、プロとしての見本になるような選手をぜひクラブに呼んでほしいと思いますね。
――露出を増やすためには、代表が五輪に出るのが一番効果をもたらすと思う。難しいと思うが、実現した時のインセンティブは考えているか?
川淵 それは、決めているよ。選手に感謝の気持ちを込めて、いくらでも出すとは言えないけれど、思い切って奮発しますよ。(具体額は)そんなことは今言えないけれど、決まってから言いますよ。
Jリーグの例ばっかり挙げて申し訳ないんだけれど、Jリーグがスタートして93年の10月にドーハの悲劇があって、ワールドカップ(W杯)に行けなかったわけですよ。いってみれば、リーグが一番興奮と感動でお客さんがいっぱい入っている時に、W杯に行けなかったということがあっても、観客動員数その他に一切影響を与えなかったですからね。それだけBリーグの選手が頑張れば、そういうことは気にならないと思う。しかし代表が五輪に出たらもっと盛り上がることは間違いないので、そういうことを常に念頭に置いて、しっかり試合をしてほしいということです。