ドラ1候補・吉川尚輝の活躍が導火線に=雑草軍団・中京学院大が日本一の快進撃

高木遊

主力選手でも練習後にアルバイト

今大会で一気に全国区へ一躍躍り出た吉川。次の目標は「日本代表のユニホームを着たい」と6月中旬の日本代表選考合宿へ向けて意気込んだ 【写真は共同】

 1993年に創部され岐阜県中津川市に拠点を置く中京学院大は、これまで全国大会出場は1度もなく、一昨春に初めて岐阜県リーグを制すると、そこから春は今年まで3連覇。だが2年続けて東海地区大学野球選手権で敗れており、3度目の正直で今年ようやく掴み取った全国大会出場だった。

 選手の中には他の強豪大学から声がかからなかった選手や、授業と練習と並行させながら週5日のアルバイトに励むエースの柳川ら経済的事情を抱えた選手も多い。攻守で大活躍し最高殊勲選手賞と首位打者賞を獲得した主将の山崎善隆(4年・昭和第一学園高)は、これまで4年間の苦労を報道陣に尋ねられ「練習後のアルバイトが大変でした。でもやらなければ生活費がなくなってしまうので」と苦笑いした。

次なる目標はジャパンのユニホーム

 吉川は推薦入学で、強豪・亜細亜大に合格していたほどの好素材だったが生活に馴染めず入学を辞退し、中京学院大に入学した過去がある。そんな雑草集団が成し遂げた快挙には、多くの地方大学に大きな刺激を与えたことだろう。

 そしてその快挙から息つく暇もなく、吉川はチームメートの柳川(今大会最優秀投手賞を獲得)とともに、17日から神奈川県のバッティングパレス相石スタジアムひらつかで始まる侍ジャパン大学日本代表選考合宿に参加する。この3日間では、同じくドラフト1位候補遊撃手とされる京田陽太(日本大4年・青森山田高)との競演や、ドラフト候補の4年生ら多くの好投手たちと紅白戦での対戦が予想されている。吉川も「ジャパンのユニホームを着るために一からアピールしたい」と腕ぶす。

 その選考を勝ち抜けば、次は自身初の国際大会である第40回日米大学野球選手権(7月12日から)が待っている。この1週間で一気に全国区となった吉川尚輝の名を、さらに轟かせる長い春が続いていく。

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著者プロフィール

1988年、東京都生まれ。幼い頃よりスポーツ観戦に勤しみ、東洋大学社会学部卒業後、スポーツライターとして活動を開始。関東を中心に全国各地の大学野球を精力的に取材。中学、高校、社会人などアマチュア野球全般やラグビーなども取材領域とする。

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