メッシとアルゼンチンに訪れたチャンス 100周年のコパ・アメリカで再び優勝を

93年以来、コパ優勝から遠ざかっているアルゼンチン

アルゼンチンはディ・マリア(左)とエベル・バネガ(右)のゴールで前回王者チリとの初戦を制し、1年前の雪辱を晴らすことに成功した 【Getty Images】

 PK戦の末、地元チリに敗れたコパ・アメリカ決勝からわずか1年――。世界最高のプレーヤーであるリオネル・メッシを擁するアルゼンチンは、米国を舞台に6月3日(現地時間、以下同)に開幕したコパ・アメリカ・センテナリオ(100周年大会)にて、再びビッグタイトル獲得の機会を迎えた。

 1993年のエクアドル大会でオスカル・ルジェリが優勝カップを掲げた際、その後20年以上にわたってアルゼンチンの無冠が続くことになるとは、誰一人として考えなかったことだろう。

 実際、その後もアルゼンチンはヨーロッパのフットボール界で活躍する多くのスター選手たちを擁し、タイトル獲得まであと一歩のところまでは何度もたどり着いている。

 2004年のコパ・アメリカ決勝では終了間際に同点ゴールを許し、PK戦でブラジルに敗れた。07年大会ではブラジルとの再戦となった決勝で0−3と完敗。14年のワールドカップ(W杯)決勝では延長後半の失点によりドイツに屈し、昨年のチリとのコパ・アメリカ決勝では再びPK戦で涙をのんだ。

コロンビアが一番乗りで準々決勝へ

コロンビアは第2戦でパラグアイに競り勝ち、一番乗りで準々決勝に駒を進めた 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】

 1916年に第1回大会が行われたコパ・アメリカは、大陸規模で行われるナショナルチームの国際大会としては世界最古の歴史を持つ。その100周年を記念し、南米の10チームに北中米カリブ海連盟(CONCACAF)所属の6チームを加えて特別に催された今大会は、4チームずつ4グループに分かれたグループリーグの各組上位2チームずつがトーナメント方式の準々決勝へと勝ち上がる。

 グループCの初戦でウルグアイに3−1と快勝したメキシコは、今大会でアルゼンチンの脅威となりそうなライバルの1つだ。一方、敗れたウルグアイは9試合の出場停止処分が解けたばかりのルイス・スアレスをけがで欠いたまま、ジャマイカとの初戦を1−0で制したベネズエラと、グループ突破を懸けて6月9日に戦うことになる。

 グループAではホセ・ペケルマン監督率いるコロンビアが開催国の米国との初戦を2−0で制した。この試合の米国からは、近年の国際大会で何度も発揮してきた粘り強さが見られず、チームとしての機能性に欠けている印象を受けた。

 パラグアイとコスタリカの初戦は退屈なスコアレスドローに終わった。コスタリカには惜しくも4強入りを逃した14年のW杯時の面影はなく、引き分けで満足している様子だった。一方のパラグアイもボールは支配するものの深く攻め入ろうとはせず、単調なリズムでパスを回しているだけだった。グループAの第2戦は、米国がコスタリカに4−0、コロンビアがパラグアイに2−1で競り勝ち、一番乗りで準々決勝に駒を進めた。

 グループBではブラジルが初戦でエクアドルと0−0で引き分けた。ドイツに歴史的大敗(1−7)を喫した自国でのW杯準決勝の出場選手が1人も先発しなかったこの日のブラジルは、ネイマールもリオデジャネイロ五輪を優先して出場を見送ったこともあり、ブラジルらしい流れるようなプレーは影を潜めた。とはいえ、期待を裏切るような内容だったわけではない。単に現在のブラジルにはトップレベルのタレントが不足しているだけなのだ。第2戦では“弱小国”ハイチに対し、フェリペ・コウチーニョのハットトリック、19歳の新星ガブリエウのゴールなどで7−1で大勝している。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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