本田圭佑「収穫は負けたこと」 キリンカップ決勝ボスニア戦後のコメント

スポーツナビ

槙野智章(浦和レッズ)

今回SBとして招集された槙野は、監督とのエピソードを明かした 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

「ヴァイッドはフィードバックしてくれた」

 僕に声がかかった時は1−2でしたし、守備のことも求められましたけれど、攻撃のタイミングを見計らって活性化させてほしいと言われました。

(前半はどんなことを考えて見ていた?)前線の18番めがけてボールを蹴って、セカンドボールを拾われていたし、やっかいな相手がいるなと。本田選手と香川選手と、どういう対応をしたらいいかと話しながら見ていました。ロングボール一本でチャンスを作られてしまう展開に手を焼いていたなと。

(少ない時間でやるべきことはできた?)監督に呼ばれた時に、指示としては対面の選手に一対一で負けないことと、攻撃を活性化することを言われました。途中から入った選手、小林(祐希)選手が僕の近くにいたし、遠藤(航)選手も後半の頭から入っていて、途中から金崎(夢生)選手も入って、僕の周りにはフレッシュな選手がいたのでどうにか途中から入った選手で、攻撃に厚みをつけてコンビネーションで崩せたらと思っていました。彼らが近くにいたことで、コンビネーションでうまく崩せましたし、クロスも何本も上げられましたけれど、最後のところで決められなかったのはもったいなかったと思います。

(前日練習でサイドバックがキーになるような練習をしていたが)いつでも出られる準備はしていましたし、前日に今日のメンバーが発表された時には、素直に悔しかったです。与えられた時間と、このキャンプでSBとして見せるものは自分としては出してきたし、守備はもちろん、攻撃でも練習の紅白戦で果敢にクロスを上げたり、シュートに絡むプレーも数多く出してきたので、少ない時間でも自分の力は出せるだろうと思っていました。あとは前半ベンチで相手の嫌がるプレーを見たり、どうやったら相手の良さを消せるかと周りと話をしながら見ていたので、うまくゲームに入れたと思います。

(戦って感じたことは?)正直、前半の方が相手はフレッシュだったので、僕が入った時にそれを感じなかったのは少し残念だと思います。ベンチで見ていた印象は、まれに見る高さと強さを持ったチームだなと。ブルガリア戦に大勝した時に監督も選手も言っていましたけれど、一番危険な状態だったと思います。最終予選を戦っていく上で、もっともっとレベルアップしていかないといけないし、海外組はもちろん、国内組の底上げをもっともっとしていかないと。

(アルベルト・ザッケローニ監督時代に「SBは複雑な気持ち」と言っていた。今回は?)ヴァイッド(ハリルホジッチ監督)に関しては、今回僕をSBとして呼んだ理由と、グラウンドで出してほしいプレーをはっきりとフィードバックしてくれました。しかも、それは初日にありました。長い時間、僕一人に対して、スタッフ12人くらいいましたし、ビデオも用意されて、悪いプレー、良いプレーを示してくれた。しっかり理由を言ってくれましたし、それはザッケローニ監督とは違った。僕もその理由は分かっていたし、気持ちは切り替えられました。今回の合宿は真ん中はもちろん、サイドとしても自分の良さを出していかないと分かりました。それが初日にあったというのが良かったと思います。

(何分くらい話した?)40分くらいかな。1人で。(みんなにもそういったことが?)いや、ないですね。もしかしたら、違う選手だったらメンタルがやられていてもおかしくないかもしれないです。厳しいですよ。自分がいいと思っていたプレーがダメと言われたし、でもそれは裏を返せば期待しているということです。でも、ただ厳しい言葉を浴びせられまくった40分だったから(笑)。

 毎回、いつもここはダメと言ってくれるのは、非常にうれしかったですけれど、初めて映像を作って、時間を割いて、やってくれたことは良かったです。今回だけじゃなくて、帰ってからもそのプレーだったり、今回感じたことを受け止めて、僕も一皮二皮むけないと。代表に常に呼んでもらっているなかではボーダーラインだと思いますし、同じポジションに吉田選手、森重選手、今回は長友選手と同世代の選手がいる以上負けたくないし、彼らにないものを自分は出していかないといけない。

吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)

吉田はフィジカルの強い相手に対してどう守るのかを課題に挙げた 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

「フィジカルだけでは僕らは難しい」

 無駄なファウルを与えず、なるべくCKを少なくして、ロングボールを蹴らせない。今日は立ち上がりからファウルも多かったし、ここから学ばなければいけないことがすごくたくさんあると思います。最終予選も始まりますし、これを教訓にしていかないといけないんですけれど、多くの欧州の選手は1年間戦ってきて疲労しているので、まずはしっかりと休んで体をいい状態にして、また新シーズンを迎えられるようにしないといけない。しっかりとリカバリーをして、体のケアをして、また来シーズン頑張りたいと思います。僕も含めてやはり(所属クラブで)試合に出なければいけないと思います。

(試合後に森重真人と話していたが?)ロングボールについて、ああいう相手に対してもっと止めないといけないってことですね。どうすればいいのかを話していました。

(純粋に競り勝つことだけではない?)もちろん最後のところでは競り勝たなければいけないんですけれど、その回数を10回から7〜8回に減らすことによって確率も下がってくる。ボールを出させないというのも技術の一つです。目に見えない技術の一つなので、そういうところをやってかないと、フィジカルだけでは僕らは難しいと思います。

(国内だと危険だと思うプレーのレベルが違うということか?)意識と実践が必要だと思います。実際にJリーグでも身長の高い選手は得点ランキングで上位にいますし、シモビッチだったり、(かつてJリーグでプレーしていた)ヨンセン、ケネディ、ワシントンとかそういう選手に日本の選手は後手を踏むことが多い。それも含めて、そういう選手たちとどんどん戦っていかなければいけないと思います。僕もそうですけれど、今日の選手もイングランドでは決して強い方の選手ではないので、しっかり止められるようにならないといけないと、生き残っていくことすら難しいと思います。

酒井高徳(ハンブルガーSV/ドイツ)

右サイドで出場した酒井高は、浅野の使い方を課題に挙げた 【Getty Images】

「浅野の使い方は今日出た課題」

 浅野が動いているからどんどん裏に出せと言われて、みんなイメージは裏でした。試合が終わってから話しましたけれど、監督は浅野が前半からいい動きをしているから、もっと浅野を使えと、すこしトーンの高い感じで檄(げき)を飛ばしていました。僕も浅野の動きを見て、何度か出せと思った時があったし、浅野が走って自分がおとりになった時にボールが来なかった時もありました。

 ただ、やみくもに裏に蹴るのはよくないと思うし、浅野をうまく使うときに、どうやって3人目(の動き)でうまく使ったら良いのかというのを、僕としては考えてやりたかった。いまいち自分のところで、アイデアのあるパスや動きができなかったなと思います。浅野と一緒にやって今回出た課題かなと。

 彼に組み立ては求められないと思うので、うまく彼が前向きに仕掛けられるシーンを。後半に一回あったのは、彼が足元にボールをもらおうとしていたので、俺は前を向いて出せるから、どこに欲しいのかアクションを出してくれと言いました。本人は足元でほしいといっていたけれど、(監督から)裏にいけと言われていた。相手のSBの内側にゴロで出すようなパスを出すのか、チップで出すのかというような動き出しの要求をもう少ししてもらえれば出しやすかったかな。裏を狙うということに関しては。

(今回のキリンカップがチーム作りにもたらす意味合いは?)ブルガリア戦であれだけ得点のパターンが出たというのは代表として選択肢が多くなって、ポジティブな要素ばかりだったと思います。ボスニアに決勝で負けてしまったことも、対オーストラリアを考えると、今日の18番のような選手がいた時に、どうやってチームとして守るのか。前半はプレッシングをかけたい、でもロングボールであそこを抑えられて、プレッシャーを一気にかいくぐられた。あそこで起点を作られたせいで、20メートル前にプレッシャーをかけたのに、また40メートル下がらないといけないというシーンが何度もあったし、相手にロングボールを入れさせないようにするのか、それとも入れられた後にセンターバック、SBのコミュニケーションで大きい相手をサンドしてボールを取るのか。工夫しないといけないと思います。

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