白井健三、際立つ“異質な”才能 悲願の団体金へ不可欠な存在に

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チームの元気を保つムードメーカーに

白井以外の日本代表4選手はロンドン五輪も経験した実力者たち。(左から)白井、加藤、内村、田中、山室 【写真は共同】

 白井の話を聞いていると、いかに1つ1つの経験を成長につなげてきたかがうかがい知れる。今大会、彼は平行棒と鉄棒にも出場した。両種目とも予選で敗れたが、「学ぶことが多かった」と試合後に笑顔を見せた。とにかくどんな失敗を犯しても収穫として、ポジティブに捉える。鉄棒ではコバチに挑戦して落下したものの、「やり直して成功していますし、失敗もできたのですごく良い経験を積めたと思う」と、ネガティブな考えをいっさい口にしなかった。

 この前向きな思考は、アテネ五輪以来12年ぶりの団体金メダル獲得を目指す日本チームにとって、大きな武器となるかもしれない。代表に選ばれた選手は内村をはじめ、加藤凌平、田中佑典、山室光史(いずれもコナミスポーツ)と、自身の感情を前面に出すタイプとは言いがたい。この4選手は前回のロンドン五輪に出場しており、数々の修羅場をくぐり抜けている。とはいえ、苦しい局面に陥ったとき、演技だけではなく言葉や行動で盛り上げてくれる存在は必要不可欠だろう。彼は自身の役割についてこう語った。

「床と跳馬で完璧な演技を目指して、頼られる選手になること。あとは唯一の学生になるので、練習や試技会から元気に声を出し、チーム全体が少し暗い雰囲気になっても、勢いが戻るような存在になりたい。チームの元気をずっと保てるようなムードメーカーとして頑張っていきたいと思っています」

 もちろん演技にかかる期待も大きい。昨年の世界選手権を制した床と、今大会では失敗した跳馬は、内村をして「爆発的に点数が取れる」。最年少ながら金メダル獲得の鍵を握る存在となるはずだ。

 19歳で迎える初めての五輪は彼に一体何をもたらすのか。1つ確かなことは、たとえどんな結果に終わったとしても、彼はその経験を糧にして、さらなる成長につなげるということ。今回は床と跳馬のスペシャリストとしての選出だったが、いずれは個人総合で勝負したいという希望も持っている。

 この彼の“異質な”才能をどこまで伸ばせるかは、日本体操界に課せられた使命とも言えるだろう。

(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)

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