”サッカーどころではない”ブラジルの今 けが人続出の緊急事態も、国民は無関心
ネイマール抜きで大会を戦うセレソン
コパ・アメリカ・センテナーリオに臨む、ブラジル代表のメンバーは以下のとおり。
GK:
アリソン(インテルナシオナル)
ジエゴ・アウベス(バレンシア)
マルセロ・グローエ(グレミオ)
DF:
ダニエウ・アウベス(バルセロナ)
ファビーニョ(モナコ)※
フィリペ・ルイス(アトレティコ・マドリー)
ドウグラス・サントス(アトレチコ・ミネイロ)※
ミランダ(インテル)
ジウ(山東魯能泰山)
マルキーニョス(パリ・サンジェルマン)※
ロドリゴ・カイオ(サンパウロ)※
MF:
エリアス (コリンチャンス)
カゼミーロ(レアル・マドリー)
ルーカス・リマ(サントス)
レナト・アウグスト(北京国安)
フィリペ・コウチーニョ(リバプール)
ルーカス・モウラ(パリ・サンジェルマン)
ウィリアン(チェルシー)
ウォレス(グレミオ)
FW:
パウロ・エンリケ・ガンソ(サンパウロ)
フッキ (ゼニト)
ジョナス(ベンフィカ)
ガブリエウ(サントス)※
※はU−23代表選手
負傷者が続出する緊急事態に……
ドゥンガはガブリエウのプロ意識のなさを非難し、かなりいら立っていたようだが、そもそも代表チームを海外に遠征させる際の書類やその他手続きの責任者はCBF(ブラジルサッカー連盟)である。CBFと本人、クラブ、代理人との連携体制が取れていなかった組織力の脆弱(ぜいじゃく)さが今回の書類不備につながったのである。
CBFは昨年、前会長のジョゼ・マリア・マリンがFIFA(国際サッカー連盟)の要人としてFBIからサッカービジネスにまつわる汚職事件の容疑者として収監された。それからというもの、現会長のマルコ・ポーロ・デル・ニーロも自分に容疑がかかることを恐れ、海外に行くことはせず、病気を理由に職務から離れたり戻ったりを繰り返している。当然、このコパ・アメリカ・センテナーリオには行く予定はない。
こんな状態で、国民からの支持を受けるわけがない。5月29日にコパ・アメリカ・センテナーリオ前最後のテストマッチであるパナマ戦が行われ、ブラジルがジョナスとガブリエウのゴールで2−0で勝利した。ドゥンガは試合後に「基本は4−4−2で、1トップ、2トップと試合の状況や相手に合わせて切り替えることができる。ガブリエウはスピードとゴール感覚に優れ、いろいろな使い方ができる優秀な選手だ」と語り、手応えを感じていた。しかし、ちまたでは国民の関心度はかなり低く、『試合があったことも知らなかった。まあ、誰も気にしていないけれど』などとネットに書かれている始末だ。
サンパウロ州選手権2016で優勝を果たしたサントスのルーカス・リマとガビゴウ(ガブリエウ・ゴール)と呼ばれるガブリエウのコンビネーションは期待できる。これに加え、ネイマールなしでセレソンがどう戦うかのテストとして、できることなら次世代スター候補のダブル・ガブリエウの2トップが見たかったが、ドゥンガはカカーの代わりに、急きょ米国のビザを取得したガブリエウ・ジェズスを呼ぶことはせず、復調著しいパウロ・エンリケ・ガンソを招集した。手堅い作戦が吉と出るか、凶と出るか。
そして、大会直前までごたごたは続いている。ブラジルが練習するはずだったUCLAで銃による殺人事件が起こり、練習場が急きょ変更になったり、さらには6人目のメンバー交代が発表された。ルイス・グスタボが個人的事情により欠場を申し出て、同じくボランチのウォレス(グレミオ)が招集されたのだ。五輪で金メダルを取るまでの長い道のりが始まる。