予想外な幕開けを迎えたW杯南米予選 エース不在の2強がそろって黒星発進
出場権を逃しかねないブラジル
この2チーム、そして史上初めて高地ラパスでボリビアを破ったウルグアイには共通する点がある。昨季三冠を獲得したバルセロナにおいて決定的な役割を果たしたトリデンテ――アルゼンチンはリオネル・メッシ、ブラジルはネイマール、ウルグアイはルイス・スアレス――を欠いていたことだ。
過去の世代ほどタレントに恵まれておらず、史上初めてW杯本大会の出場権を逃しかねないほどレベルが低下している現在のブラジルは、現南米王者のチリに敵地で0−2と完敗した。
エドゥアルド・バルガスとアレクシス・サンチェスのゴールにより勝負が決したのは後半も半ばを過ぎてからのことながら、史上まれに見る豊富なタレントを擁する“ラ・ロハ(チリ代表の愛称)”はかつて王国と呼ばれた相手に対して、90分間ゲームの主導権を握り続けた。
堅守が特徴のヨーロッパ的なチームへ変貌
組織力や守備の安定をベースに、攻撃面ではネイマール個人の打開力に依存する。アイデアとタレントが溢れる喜びに満ちたフットボールを展開していた以前とは異なり、現在のブラジルは非常にヨーロッパ的なチームになった印象だ。(編注:第2節でブラジルはホームでベネズエラを3−1と破っている)
14年のW杯で生じたジョルジョ・キエッリーニへのかみつき事件以降、スアレスの不在が続くウルグアイもブラジルと似たような状況にあった。だが“ラ・セレステ(ウルグアイ代表の愛称)”に4−4−2の基本システムと明確なプレースタイルを定着させて久しいオスカル・タバレス監督は、一時代を築いたルガーノ、ペレス、フォルランら“ロス・ディエゴス(ディエゴたち)”が去った後も伝統の堅守とハードワークを強化することでタレントの低下を補い、エディンソン・カバーニまで欠く状況下でボリビア(2−0)、コロンビア(3−0)に2連勝を挙げることに成功している。