大坂なおみ「誰が相手でも戦える」 急成長を支える“勝負師のメンタル”
ハレプを脅かした2つの戦略
ハレプとの大一番でも、敗戦の経験を生かし堂々とプレー。敗れはしたものの、第1セットを奪うなど善戦した 【Getty Images】
「サービスをしっかり入れること。そして相手が得意とするストレートへの切り返しを封じること」
シンプルに心に刻んだ2つの戦略を、彼女は忠実に実行する。鋭いスピンを掛けたフォアのクロスを切り札に、ブレーク合戦となった立ち上がりの攻防から、第1セットは大坂が一気に抜け出した。圧巻は、ゲームカウント2−4とリードされてからの4ゲーム連取。第8ゲームでは左右に走らされながらも、鋭角にコートを裂くクロスのウイナーで、観客の度肝を抜いた。第10ゲームでは、時速190キロのサービスをセンターにたたき込み、続くポイントでは一転、125キロのスピンサーブで相手のリズムを崩す。その瞬間、日頃は自制心の強いハレプが、怒りにまかせラケットを投げつけた。
しかし第2セットに入ると、「早いタイミングでボールを捕らえ、彼女(大坂)の時間を奪い強打を封じようと思った」というハレプが、ミスの増えた大坂の手元から、スルスルと主導権を抜き取っていく。
「最後は経験がモノをいった」
勝者は安どに胸をなでおろした。
「必要なのは経験と戦略」
試合後に敗因を分析しつつ、自称“未熟者”は言う。
「私に必要なのは経験と戦略。パワーやストロークは、十分に渡りあえると思った」
本人は、「うぬぼれ屋」だと思われることを、過度に心配する。だが、今日の試合を見た者は誰一人として、大坂なおみを、うぬぼれているとは思わないはずだ。