大坂なおみに感じる明るい未来 杉山愛コラム「愛’s EYE」

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将来のトップ10入りは固い

日本女子テニス界に現れた新星、大坂なおみ。スケールの大きさが魅力だ 【写真:ロイター/アフロ】

 今回は全豪オープンで3回戦に進出した大坂なおみ選手について書いてみます。実際にプレーをじっくり見たのは初めてでしたが、彼女は2014年にサマンサ・ストーサー選手(オーストラリア)を破っていましたし、どんな選手なのだろうと観戦を楽しみにしていました。その頃はまだパワーをコントロールしきれていなかったので、思うような成績に結びついていませんでした。

 しかし、今大会の6試合(※予選を含む)では、まさにその部分で大きな成長が見られました。彼女のコメントを聞いても、攻撃のチャンスを見極めるなど、安定感、ミスの少ないテニスを相当意識しているようです。そこが最近のジャンプアップの大きな要因だと思います。

 ただ、彼女の最大の魅力と言えばもちろんビッグサーブ。そこは今までの日本選手と大きく異なる点です。身長180センチと体格にも恵まれています。時速190キロ超のサーブが打てる選手は女子ツアー全体でもせいぜい3人とか4人ほどで、その中に入っているのですから、本当に今後が楽しみです。

 また、パワーヒッターでグラウンドストロークの決定力も持っているのですが、それに加えディフェンス力もあり、バランスの良さを感じました。特に全豪2回戦のエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)戦は、相手もしつこい選手ですし、破るのは容易ではないと見ていたのですが、大坂選手のテニスが上回っていました。トップ20レベルの選手に、あのプレー内容、あの勝ち方ができるのは、よほどの実力がないとできないことです。

 予選から6試合、あの大舞台で、しかも初のグランドスラム本戦でありながら、本来の力を出しきったことをふまえると、将来のトップ10入りは固いでしょうね。

パワーだけではない、大坂なおみの魅力

全豪オープン2回戦での大坂なおみ。観客席では日の丸が揺れていた 【写真:ロイター/アフロ】

 彼女のお母さんは日本人で、お父さんはハイチ出身のアメリカ人ですが、彼女のプレーにはご両親のルーツ両方のいいところが見られるように思います。試合では熱くなることもありますが、その中でも日本人らしい冷静さ、客観的に状況を見られるところもあって、すごくバランスがとれています。勝っても淡々としていて、決してオーバーリアクションではないところも彼女らしさでしょう。

 日米両国の国籍を持っていますが、日本選手としてツアーに参戦しています。全豪では、観客の方が日本の国旗を振って応援してくれたのがうれしかったとコメントしています。そういう素直さも彼女の長所ですね。全豪はどちらかと言えば日本のトーナメントに近い雰囲気で、日本人の応援も多い大会です。初めてのグランドスラムでしたが、彼女も心地よさを感じながらプレーしているように見えました。応援を力にできるのも立派だなと思います。

 まだ彼女と直接話したことはないのですが、客観的に見て、今までになかった個性の持ち主で、すごく面白い選手だなと感じます。これからも注目したいと思います。
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