曖昧な評価に終わった川島永嗣の挑戦 降格の危機から救えず、退団は決定的か
壊滅的だった守備組織
クラブは守備に深刻な問題を抱えていた。川島は守備陣全体をまとめあげることまではできなかった 【Getty Images】
それを象徴するようなエピソードを、キャプテンを務めた守備的MFのポール・マトンが『クーリエ』紙のインタビューで語っていた。いわく、降格が決まったダービーマッチで敵の決勝点が生まれたFKの場面で、守備を巡って川島との間に言い争いがあったのだという。
「エイジは僕に2枚の壁を作れと叫んだ。僕が壁に入れば、誰かが僕のいたポジションを埋めなければいけない。だが、それがなされず、得点した選手をフリーにしてしまったんだ。だから試合後、口論になった。1−1のスコアで、あの角度からのFKなら壁は2枚もいらないと思ったからね」
そして、キャプテンはこう続ける。
「決断の悪さ。それが僕らを要約していた。経験豊富なプロとして、僕はGKに言わなきゃいけなかった。『絶対に可能性はない。オレはこの位置のままだ』ってね。結局のところ、僕らは1年中、そういう間違った決断を続けてきたんだ。どれかひとつが降格の原因じゃない。シーズンを通じてパフォーマンスが悪かったんだ」
もちろん、GKひとりでどうにかできる問題ではないだろう。ただ、川島に対する現地評が総じて曖昧なものになったのは、好守や美技だけでなく、守備陣全体をまとめあげて一枚岩の集団を作り、チーム全体に好影響をもたらせるような“絶対的インパクト”が期待されていたからではないだろうか。
契約延長の可能性もあるが……
ヨーロッパでのチャレンジ継続を希望している川島。来季はどこでプレーするのか 【写真:アフロ】
もちろん、契約に関しては情報が開示されていないので、そんな条項が存在するのか、また取り下げが可能なのかといった辺りは定かではない。だから今後の展開次第で、まだ残留に転ぶ可能性もあるだろう。ヨーロッパでのチャレンジ継続希望を明言している本人にしても、再び“無所属”に逆戻りするリスクは避けたいはずだ。
ただ、来季の彼がどこでプレーするにしても、苦しくも学びが多かったスコティッシュ・プレミアでの半年間は必ずそのGK人生において血となり、肉となっていくはずだ。