梶谷、筒香復帰でDeNAに反攻の兆し 投打の“ねじれ”解消で混セの中心へ
指揮官も「うれしい誤算」の倉本
ラミレス監督も「うれしい誤算」と認める活躍を見せる2年目の倉本 【(C)YDB】
「うれしい誤算だ。遊撃手として守備力は高く評価しているが、シーズン当初は(ここまで打つとは)期待していなかった。試合に出続けていることが自信につながっているのではないか」
倉本の打撃好調は一過性のものでは終わらなかった。その後も主に6番打者としてコンスタントに安打を放ち、5月6日から6試合連続マルチ安打を記録するなど、打率は一時3割5分まで上昇した。ルーキーだった昨季は51安打の打率2割8厘に終わったことを考えれば、すでにそれを上回る52安打をマークした今季は飛躍的な成長を遂げたと言える。
柔軟な姿勢で確実性アップ
「去年のシーズン中は、コーチの話を聞いてもうまく理解できないくらいの状態で、これではちょっとやばいなと思っていました」
危機感を抱いた倉本は、試行錯誤を続けた。足の上げ方やバットを構えた時の左ヒジの位置。さらに逆方向へ打球を飛ばす練習も意識的に行った。「(対戦する)投手は毎日違いますから」と、柔軟な姿勢で打席に臨んでいることが結果につながっている。
5月12日の中日戦、延長10回裏に無死満塁で回ってきた打席では初球をレフト前に弾き返してプロ初のサヨナラ打。遊撃手の守備でも無失策を続けており、「守るだけではずっと試合に出続けることはできない。攻撃の面でも少しでも貢献していきたい」と語る25歳は、攻守にわたってチームに欠かせないピースとなっている。
戦力そろうも打線のつながりが課題
5月15日の阪神戦後、9回のサヨナラ機に一本が出なかった梶谷はこう明かした。
「ネクストにいる時から、もう決めてくれと思っていた。普通の状態なら『おいしいわ』と思うはずなのに……今はそれぐらいの精神状態なんです。タイミングがまだズレていて、振る前に遅れているから手が出ないということも結構ある。実戦を重ねる中で、探っていくしかない」
アベレージ期待の新外国人が加入
高田繁GMは「アベレージを期待できる。ポジション的にも、二塁手や三塁手といった補強ポイントに合致していて、チーム事情に合った選手。うまくいけば、3番に置いて梶谷を2番にする打順も考えられるのではないか」と期待感をにじませた。ラミレス監督が当初思い描いていた「2番・梶谷」に始まり、エレラ、筒香、ロペス、倉本という中軸打線が機能しだせば、他球団にとっては十分脅威となるはずだ。
計算できる先発が揃うDeNAのチーム防御率(3.18)はリーグトップ。いまだリーグワーストのチーム打率(2割3分6厘)との“ねじれ”が解決されれば、混セの中心に躍り出ることは決して考えられない話ではない。残り101試合。主役の揃ったDeNAはようやくスタートラインに立ったと言えるのかもしれない。