代表強化担当者に聞く日本ラグビーの未来 19年のW杯に向けたプランと展望
日本代表ディレクター・オブ・ラグビーの薫田氏 【スポーツナビ】
サンウルブズ初勝利を受けて
スーパーラグビーで初勝利を収めたサンウルブズ 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
講演は先日のスーパーラグビーで初勝利を収めたばかりのサンウルブズの話題からスタート。進行を務めるラグビージャーナリストの村上晃一氏に初勝利の感想を問われると、「勝ってほっとしている。結果を残さなければいけないので、価値のある1勝だったと思います」とコメント。勝因については「セットピース」と明言し、「セットが安定したことでゲームが締まった」と手ごたえを口にした。
W杯に向けた2016年の位置づけ
「どのスポーツもそうだが、約10年スパンで強化しなければ結果は出ないと言われています。協会としては、前ヘッドコーチ(HC)のエディー(・ジョーンズ)さんが就任した12年から19年に向けた8年スパンでの強化を考えています」と薫田氏。エディー体制を「ステージ1」と表現すると、「長期間のキャンプで拘束して、一貫してハードワークを行い、徹底した管理を行った」と話した。
さらに「16年からの2年間はステージ2」と話すと、「スーパーラグビーの参戦」と「トップリーグ」の2本柱で強化を進めていくことを強調。特にトップリーグに関しては「まだ日程が発表になっていませんが、今シーズンの日程は例年より試合数が増えます。トップリーグとスーパーラグビー、日本代表戦などを合わせると年間40試合程度のプレー数となる予定です」と、試合数をこなしながら強化を進めていく方針を明らかにした。
また「ステージ3では、(W杯が)日本開催であるホームアドバンテージをどのように生み出していくかをしっかりと考えていきたい」とコメント。順次発表されていく試合会場やキャンプ地などの情報をいち早く収集し、日本代表にとって万全の準備を整えることが今後は求められていく。特に力を入れたいのは「選手のリカバリー」。「連戦が続いたとき、選手の回復をどのようにするのかを最後のステージでしっかりと考えていきたい」と話した。
ジェイミー・ジョセフ体制は「9月から」
日本代表の新HCに就任が決まっているジェイミー・ジョセフ 【Getty Images】
就任が9月からとなると、気になるのはそれまでのチーム強化について。現在活動中の日本代表の選手構成に関しても、「難しかった」と薫田氏は振り返る。「サンウルブズに参加した選手や、海外でプレーしている選手は今回選ぶことができなかった。そして4月から企業に勤める新卒の社員選手も、新人研修などで1カ月間練習ができない」と話すと「4月、5月のセレクションと、6月のセレクションは結構変わってくると思う」とメンバー構成を変えながら強化を進めていくことを示唆した。
また今年はリオデジャネイロ五輪が開催されることもあり、日本代表のメンバー構成にも影響が出ていると言う。「協会としても五輪でのメダルが懸っているので、今年度に限って8月までは7人制を優先にしている。それによって、今回は足の速い選手を呼べなかった」と、15人制日本代表の強化と、リオ五輪に向けた強化の両立の難しさを振り返った。
日本代表の強化において非常に重要な位置づけとなるサンウルブズだが、ジェイミー・ジョセフが指揮を執る体制になるのだろうか。薫田氏は「確定はしていない。(ジェイミー・ジョセフは)上から俯瞰した立場で見て、強化していくのが一番良いのかなと考えています。もちろんオプションとしては考えているので可能性はあります」と、自身の考えを示した。