2016年ルーキーはここまで打高投低 高山は虎の1番定着!平沢は2軍で3割

ベースボール・タイムズ

ここまで1試合4安打の猛打賞をすでに3度も記録しており、金本知憲新監督の掲げる“超変革”の象徴的存在となっている阪神のドラフト1位ルーキー高山 【写真は共同】

 2014年の104人から、2015年は116人と指名人数(育成ドラフト含む)が増え、数の上では“豊作”と言われた昨年のドラフト会議。運命の1日から半年、そしてシーズン開幕から1カ月が経過した今、各チームのルーキーたちの活躍度を改めて検証したい。

重信は2軍で盗塁トップの俊足ぶり

残念ながら2軍スタートとなったロッテのドラフト1位ルーキー平沢だが、ファームながらも3割を超える打率で、潜在能力の高さを発揮している 【写真は共同】

 今年の2月、春季キャンプで話題になったのが、巨人の重信慎之介外野手(早稲田大)と千葉ロッテの平沢大河内野手(仙台育英高)の野手2人だった。

 重信は宮崎キャンプで1軍スタートとなり、50メートル5秒7の俊足に加えて、紅白戦では4試合連続安打を放つなど、打力も買われて開幕ベンチ入りを果たした。しかし、オープン戦の中盤以降から打率が急降下するなど、攻守で力不足が露呈し、わずか1打席のみの出場で3月30日に2軍に降格。「正直、ずっと1軍でやっていく実力がないと感じた」と、ファームからの再スタートを余儀なくされた。

 甲子園でも活躍し、高校生ながら内野手ではナンバーワンの評価を受けた平沢は、あの野村克也氏が「欠点を教えてほしい」とまで評価した逸材で、高卒内野手では立浪和義氏以来、28年ぶりの開幕スタメンも期待された。しかし、オープン戦では12打数1安打、7三振とプロの壁に当たり、開幕前に2軍落ちが決まった。

 現在、2人はともに2軍で奮闘中。重信は外野のレギュラーとして1番もしくは2番打者として出場を続け、イースタン17試合で64打数13安打の打率2割0分3厘とバットでは苦しんでいるが、リーグトップタイの7盗塁をマークするなど俊足ぶりは発揮している。

 一方の平沢は遊撃手として出番を与えられると、4月に入って打撃急上昇。2日から16日まで7試合連続安打を記録すると、23日には3安打5打点の大暴れ。ここまでイースタン23試合で77打数24安打、打率3割1分2厘(3本塁打・17打点)と結果を残している。(ともに4月24日終了時点)

戸柱&柴田のDeNAコンビが奮闘

ラミレス監督をして「将来、セ・リーグでナンバーワン捕手になれる」とほれ込む戸柱(写真・背番号10)。打率は1割台も守備力の高さでDeNA投手陣を引っ張っている 【写真は共同】

 キャンプ中に話題を集めた2人は失速したが、それでも今季はルーキーの“当たり年”と言えるほど、各球団で活躍する選手が目立っている。

 その筆頭が、「1番・レフト」で開幕スタメンの座を勝ち取り、打率3割をキープしている阪神の高山俊(明治大)だ。ドラフトでは東京ヤクルト・真中満監督の「当たりクジ勘違い事件」という珍事で話題になったが、そのヤクルトが「高山を中心としたチーム編成を考えていた」と言われるほどの実力を、開幕から遺憾なく発揮。4月2日から10試合連続安打を記録するなど、ここまで1試合4安打の猛打賞をすでに3度も記録しており、金本知憲新監督の掲げる“超変革”の象徴的存在となっている。

 セ・リーグの野手では、横浜DeNAの戸柱恭孝(NTT西日本)も、捕手として球団史上初となる開幕スタメンに抜擢された。ラミレス新監督が「将来、セ・リーグでナンバーワン捕手になれる」と惚れ込む25歳。ここまで打率1割台と打撃面では苦しんでいるが、守備力への評価は高い。また、DeNAでは、柴田竜拓(国学院大)も「7番・セカンド」で開幕スタメンを果たし、開幕戦でいきなり決勝打を放つなど、ショートも守れる貴重な存在として、すでに1軍に欠かせない存在となっている。

 その他では、広島の西川龍馬(王子)が開幕1軍入りし、内野の控えとしてプロ初安打も記録したが、現在は2軍落ちしている。阪神の板山祐太郎(亜細亜大)は、4月21日に金本監督に抜擢されて1軍に昇格したが、まだヒットは出ていない。

打撃で存在感を見せる茂木&吉田

ショートというアマ時代には未経験だった守備位置を無難にこなす楽天・茂木。打撃では鋭いスイングで、日本ハム・大谷から決勝打を放った 【写真は共同】

 一方、パ・リーグの野手では、東北楽天のドラフト1位・オコエ瑠偉(関東一高)がキャンプ中から話題を独占した。マスコミの期待に応える形で開幕1軍メンバーに名を連ねたが、代走、守備での起用が中心で、4月3日の埼玉西武戦で「2番・センター」でプロ初となるスタメン出場も果たしたが、結果は3打席ノーヒット。通算でも7打数0安打で、4月13日の千葉ロッテ戦を最後に2軍落ち。21日にイースタン初本塁打を放つなど、スイングに磨きをかけている最中だ。

 その中で、すでに1軍の定位置を確保しているのが、東北楽天の茂木栄五郎(早稲田大)とオリックスの吉田正尚(青山学院大)の大卒ルーキー2人だ。

 オープン戦で2打席連続本塁打を記録するなど、強打をアピールした茂木は、一時のスランプも脱出し、6番打者として開幕戦から出場すると、2戦目で三塁打&二塁打のプロ初安打を含むマルチ安打を記録。4月10日の北海道日本ハム戦では、大谷翔平から決勝打を放つなど、鋭いスイングとプロ入り前まで未経験だった守備位置でも安定したグラブさばきを見せ、これまでチームの“泣き所”と言われたショートの定位置の座を不動のものにしつつある。

 侍ジャパン大学代表では「3番・茂木」の後の4番を務めた吉田正も負けてはいない。キャンプではケガに見舞われたが、開幕戦に「1番・指名打者」でスタメン出場し、いきなり2安打を記録すると、その後もソフトバンクの“柳田級”と言われるフルスイングでファンを魅了。腰痛で4月24日に登録抹消となったが、長距離砲としての期待は変わらない。

 その他では、吉田正の同僚である大城滉二が4月3日に1軍昇格を果たし、スタメン出場して初安打も記録したが、3試合で2軍落ち。東北楽天の吉持亮太(大阪商業大)、北海道日本ハムの横尾俊建(慶応大)、オリックスの鈴木昴平(三菱重工名古屋)も1軍登録されているが、安打は記録していない。

1/2ページ

著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント