楽天・嶋基宏、リーダーとして――「自分のやるべきことは分かっている」

週刊ベースボールONLINE

欠かせないウィーラーの明るい性格

塁上から“敬礼ポーズ”を決める嶋。ムードメーカーのウィーラーが始め、嶋が追随。キャプテン自ら良い雰囲気を演出している 【写真=BBM】

 チームの雰囲気は、明らかに昨季のそれとは違う。ただ、大事なのは良い流れを継続していくことだという。生まれ変わった楽天Koboスタジアム宮城には連日、多くの観客が集って熱い声援でチームを後押ししている。強豪ひしめくパ・リーグ。厳しい戦いが続くことが予想されるが、楽天イーグルスらしい戦いぶりを見せながら勝ち進むことを、キャプテンは誓っている。

──昨季はファウルチップを受けて肋骨を骨折。交流戦中の6月半ばから1カ月ほど離脱しました。外からチームを見て感じたことはありましたか。

 当時は8連敗があったりとかして、チームに暗い雰囲気が漂っていましたよね。若い選手が多いと、どうしてもそういう悪い流れになってしまいます。その点今季のチームは勝っても負けても声を出して、明るい雰囲気でできていますね。何とか沈んだ空気を変えようと、僕が率先して声を出したり、逆転されても「まだいける!」と。1人で相手に立ち向かっていくのは本当に難しいので、ベンチが一丸となってやっていかないと。

──ヒットを打った際には、塁上で“敬礼ポーズ”も見られ、さらにチームの志気が上がっているように見えます。

 あれはウィーラーがやり始めたことで、僕も一緒にやろうと(笑)。4番としていいところで打ってくれますし、彼に回せば何かやってくれるという期待感があります。あの明るい性格もチームの良い流れをもたらしてくれますから、本当に欠かせない存在ですよ。

──打線の中では今江敏晃選手、茂木栄五郎選手、ゴームズ選手が新加入選手になります。それぞれ、どんな存在ですか。

 今江さんは千葉ロッテで日本一を経験していますし、WBCでも世界一に輝いている。そんな方がサードにいることで助かっています。ピッチャーにも頻繁に声を掛けてくれますし。藤田(一也)さんと今江さんが内野をまとめてくれるという安心感がありますし、チャンスでも何とかしてくれるという期待感があるんです。今は2人とも故障離脱していますから、ここが踏ん張りどころですね。

──そしてショートは新人の茂木選手。

 素晴らしいですよね。1年目からあれだけバットが振れるなんて、僕としてはちょっと考えられないことです(苦笑)。本人は守備が課題と言っているようですけど、ピンチでもしっかりと守ってくれていますし、むしろ守備で貢献している。本当に頼りにしていますよ。

──そして7番にはメジャー162本塁打のゴームズ選手がいます。

 三振かホームランかというバッターですよね。でもキャッチャーからすると、そんなタイプが7番にいれば気を抜けない。状況によって四球もしっかり選んでくれて、しっかりとチームに貢献してくれていますね。

梨田監督から「チームを任せたぞ」

「3年前のリーグ優勝と日本一の感動をもう一度味わいたい」とチームをまとめていく 【写真=BBM】

──そんなチームをまとめる大黒柱として、梨田(昌孝)監督からは秋季キャンプの時点でキャプテン継続を打診されました。具体的に、新指揮官とはどんな話し合いがあったのでしょうか。

「チームを任せた」。もう、それだけですね。僕もそのつもりでしたし、自分がやるべきことも分かっています。キャプテンとして、梨田監督を支えられればいいですね。

──スタジアムが天然芝に変わり、何かプレーに変化はありますか。

 僕が守る位置は土のままなので、そこまで変わったという印象は、正直ありません。ただ、プレー全体で言えば、これまで高いバウンドのヒットが多かったのが、今はあまりないということを実感しています。何より、天然芝は体に優しいということが一番ですよね。

──Koboスタの最大収容人数もついに3万人を突破しました。そして、毎試合のように2万5000人以上の観客でスタンドが埋まっています。ファンの期待を肌で感じているのではないですか。

 平日のデーゲームにも、たくさんのお客さんがスタジアムへ足を運んでくれています。また、まだまだ寒い中ですが、本当に大きな声援を送ってもらっています。まずは勝つことが一番のファンサービス。そういう気持ちで一生懸命、プレーしていますよ。

──チームは2年連続最下位。まさにどん底から巻き返しを図るシーズンになるかと思います。序盤戦では首位に立つなどいいところもありましたが、本当の戦いはこれからです。どんな戦いを見せてくれますか。

 確かにいい状態の時期もありましたけど、長いシーズン、勝つこともあれば負けることもある。歯車が合わなくなることもあるでしょう。そういったときに、少しでも早く連敗を止めることが、最後の1勝につながってくる。負けていても最後まであきらめない。その試合に負けたとしても次があるわけだから、決してあきらめない。そういう姿勢ですべての試合を戦っていきたいですね。リーグ優勝と日本一という最高の喜びを味わったのが3年前。あの感動はなかなか味わえるものではありませんけど、一度味わったからこそ、もう一度という気持ちは強いです。頑張ります。

<取材・構成=富田庸(BBM)>

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