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八村塁が語る米国への思いと将来の目標
高校卒業、新たなる旅立ち
NCAAでのプレーを目指し、勉強とトレーニングに励んでいる八村塁
NCAAでのプレーを目指し、勉強とトレーニングに励んでいる八村塁【スポーツナビ】

 日本の高校に通いながら、NCAA(全米大学体育協会)ディビジョン1の強豪校からスカラシップ選手として勧誘された選手は日本では初。202センチと長身の八村塁は、しなやかさと力強さを兼ね備えたオールラウンダーであり、日本バスケット界の将来を担う選手だ。高2で出場したU−17世界選手権で得点王(平均22.6得点)に輝いたことから、多くのNCAAの強豪校からスカウトされた八村。そんな中で受験先に決めたのは、今年のNCAAトーナメントでスウィート16(16強)に進出した強豪ゴンザガ大だ。


 NCAAでプレーするには大学進学適正テスト(SAT)と高校の評定平均(GPA)の総合評価がNCAAの基準を満たす必要があり、最終的には大学が実施する英語能力テストによって9月入学の合否が下される。高校を卒業した今も仙台市にある明成高のバスケ部の寮で生活を送り、高校の支援のもとで勉強とトレーニングに励んでいる八村。現在は、来るSATの試験に向けて追い込み中であり、今後の予定はSATの試験後に決定する。


 先日、一足先にNCAAのジョージ・ワシントン大で活躍する渡邊雄太がNITトーナメント(※)優勝に貢献し、日本バスケ界に明るいニュースが届いたばかり。「僕も早く雄太さんと戦いたくてワクワクしている」という八村の渡米が今から待ち遠しい。このインタビューでは、八村が高校3年間で培ったものを探り、新たなる旅立ちを迎えている彼の現在地を確認するものとしたい。

米国進学への道を切り開いたU−17世界選手権

ターニングポイントとなったU−17世界選手権。米国人のハングリー精神が印象に残ったという
ターニングポイントとなったU−17世界選手権。米国人のハングリー精神が印象に残ったという【Getty Images】

――高校2年の時に出場したU−17世界選手権は八村選手の大きなターニングポイントになりました。あらためて、この大会で得た手応えを聞かせてください。


(U−16)アジア選手権で3位になって世界選手権に行けることになって、世界はアジアとは違う強さがありました。あまりいい結果は出なかったけれど(14位)、チームのみんなで世界と戦えたことはすごくいい経験で、これからの日本のバスケにつながると思いました。


――U−17世界選手権で通用したところと課題は?


 通用したのはシュートです。確率はそんなによくなかったけれど、そこそこ決められたので、長距離シュートは通用するのではないかと思います。課題はフィジカルです。体の重さの部分で、ぶつかり合いでは(強さが)足りないけれど、日本は日本なりのフィジカルの良さがあって、そこは通用しました。スピードなどのフィジカルでは負けていなかったので、日本のバスケに生かせると思います。


――米国と対戦して38−122と大差がつきました。世界一のチームと戦い、何を感じましたか。


 僕が感じたのは米国人のハングリー精神です。相手に向かっていく気持ちがすごかった。他のどこのチームよりも、すごく向かってくる気持ちがあったと思います。


――世界の舞台で得たことを、国内でどう生かそうと思ってやってきましたか?


 国内でやるにしても、海外の選手とやっているイメージで試合をしてきました。練習でも海外の選手をイメージして、高く跳ぶことを意識しながらトレーニングをしました。ジャンプ力がついたと思うし、そういう部分で海外の大会に出たことが生きました。

NBA選手になるには、NCAAでプレーすることが一番の近道

――米国の大学進学を決意した理由は?


 米国が世界で一番強いと思うので、強いところでバスケをやって、その経験を生かして日本のバスケを強くしたいというのがありました。僕の夢でもあるNBA選手になるためにも、それが一番近くて、一番いい道だと思っていて、米国に行きたいと思いました。


――米国の大学でプレーする目標はいつから持っていたのですか?


 中学からバスケを始めたんですけれど、その時からコーチが「将来はNBA選手になるんだ」と話してくれて、僕もそういう意識でやっていました。


――U−17世界選手権以後、NCAAの強豪校から勧誘がありました。世界に出て戦ったあと、意識の変化はありましたか?


 米国でやることはバスケを始めたころから夢ではありましたが、世界で戦って、いろいろな経験をして米国の強い大学に行こうと決心できました。あの大会に出たことで、夢が目標になったんじゃないかなと思います。


――昨年4月に世界選抜の一員として参加したジョーダン・ブランド・クラシックでも、海外の選手たちと積極的にコミュニケーションを図って楽しそうでしたね。


 世界各国からすごい選手が集まったので楽しかったです。日本人はそういうところでは自分を抑えておとなしい人が多いんですけれど、僕は誰とでも打ち解けて友達になりたいというか、海外でその国の文化や言葉を学ぶのが楽しいです。プレーでも自分を出せる人が勝つと思うし、そういう経験ができるのが楽しいです。


――米国でプレーすることで不安に思うことはありますか?


 バスケではないですけれど、やっぱり勉強。NCAAに行くなら本当にしっかり勉強をしないといけないので、そこが本当に大変だと思います。



※NITトーナメント:毎年3月に行われるNCAAトーナメント(参加チーム68)に出場できなかった大学から選ばれた32校によって競うトーナメント。

小永吉陽子
スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者となる。日本代表・トップリーグ・高校生・中学生などオールジャンルにわたってバスケットボールの現場を駆け回り、取材、執筆、本作りまでを手掛ける。

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