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小倉新監督が名古屋で目指す理想の姿
キーワードは「『何でもできる』が強み」

二元論を好まない小倉監督

名古屋の小倉隆史GM兼監督の目指すサッカーのキーワードは「『何でもできる』が強み」だ
名古屋の小倉隆史GM兼監督の目指すサッカーのキーワードは「『何でもできる』が強み」だ【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 目指しているのは、“究極”ともいえる高みである。


 2016シーズン新体制発表会で語り、これまで一人歩きしていた感のあった“5人目まで連動する”や“シンクロするサッカー”といったキーワードは、実はその土台を形作る要素の一つに過ぎない。小倉隆史GM兼監督の目指すべき姿を表すキーワードとして最も端的なものといえば、「『何でもできる』が強み」ではないかと思う。


 小倉監督の考える戦術の基本は、攻撃面では「ゴールから逆算すること」、守備面では「前線からプレスをかける。ダメなら中盤で守備ブロックを作る」というものだ。この時点ですでに、「『何でもできる』が強み」の意識付けは始まっている。サッカーを語る時、分かりやすいのは二元論である。ポゼッションかカウンターか、プレッシングかリトリートか、そして攻撃的か守備的か。小倉監督はこういった考え方を好まない。むしろ嫌っていると言ってもいい。42歳の新米監督の認識では、それらはすべて現代サッカーにおいては当然のことであり、わざわざ定義づける必要はないものなのだ。とある日の練習後、報道陣の質問に対し、彼はこう答えている。


「いろいろなものを見ていると、チームに色をつけたがる。あるところでは、ウチは堅守速攻と言われていたり、ロングボールだと言われていたりするけれど、決してそこを目指しているわけでもないし、その逆で『ポゼッションだぜ』ということもない。ポゼッションなんてものは当たり前にやることであって、つなげるときにはつなげる、ロングで蹴る時もある。それを普通のことにしたいだけ。キャンプの頃からポゼッションの部分では甘いところがあるし、もっともっと実戦の中で洗っていかなければならない部分はたくさんある。でもつなぐから、ポゼッションにこだわるからと言っても、縦の速さやカウンターはなくさない。永井(謙佑)やコバ(古林将太)の縦への推進力を使わないでつなぐかと言ったら、それもしない。表現のところでみなさんは“攻”か“守”かをつけたがるけれど、そういうところにいないから、なかなか伝わりにくいのかもしれない」

マルチタスクのチーム作りに取り組む

 他にも、対戦相手の特徴を尋ねられた際に「全員攻撃、全員守備」と言ってから「そんなのは今は当たり前。自分で言って『古いな』と思った」と苦笑したこともあった。これらの発言からつかめる小倉監督の追い求めるスタイルは、やはり「『何でもできる』が強み」なのである。連動や共感といったキーワードは、チーム全員が即座に状況を理解し、最も有効な手段を選択するというニュアンスであるとも考えられる。


 だが、その戦い方を実践するのは控えめに言っても超難題である。ただでさえ、二桁に上る選手を入れ替え、スタッフも一新してスタートしたチームである。常識的に言えば、何かシンプルな一つのカラーを軸に据え、チーム作りを進めた方がアプローチとしては手っ取り早いだろう。万能型を目指したいなら、一つの軸が固まってから、徐々に他の要素を加えていくのがベターな手法でもある。しかし、そもそも二元論で考えていない小倉監督のアプローチは違う。大きな幹から枝分かれしていくのではなく、何本もの柱が林立しているようなイメージで、いわばマルチタスクのチーム作りに取り組んでいるのである。

今井雄一朗

1979年生まれ。雑誌社勤務ののち、2015年よりフリーランスに。以来、有料ウェブマガジン『赤鯱新報』はじめ、名古屋グランパスの取材と愛知を中心とした東海地方のサッカー取材をライフワークとする日々。

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