米国で見たスポーツ観戦の新潮流 ITの進化が膨らます価値

渡辺史敏

選手が目の前に!大きく変わるスポーツ観戦

スーパーボウルに合わせて発表されたスポーツ観戦の近未来像。ITによって、これまでと違った楽しみ方が創出されそうだ 【写真:ロイター/アフロ】

 一方、NFLのデジタル部門であるマイクロソフトは現地2日に「フットボールの未来」と題したスポーツ観戦の将来像を示す記者会見を開催。その中で同社が開発中の拡張現実ゴーグルHoloLensを使用した近未来の観戦スタイルを紹介したビデオ「Imagining the future for NFL fans」公開した。
 会見で示されたビデオの要点は大きく4つ。まず床から天井までといったこれまで以上の大画面をバーチャルに構成できるようになることだ。さらに選手に装着されたセンサーによって選手の走る速さやその変化がリアルタイムに表示され、確認できる。また、目の前のコーヒーテーブル上などにホログラムでフィールドが表示され、視点を変えながらリプレーを見ることも可能になる。4つ目は、選手の実物大ホログラムがまるで室内にいるかのように表示される機能だ。

 いずれもこれまでのスポーツ観戦を拡張するものだといえよう。特に会見では選手の実物大ホログラムは、選手がどれほどすごいかを実感させることができるとして出席者から高い注目を集めていた。

 また、同社が主催し、ITを使ってスポーツをさまざまに拡張させるアイデアを競う第1回コンテスト「イマジン・ボウル」の最終候補3案も披露された。
 1つ目がやはり選手にセンサーを取り付け、心拍数や脱水などをモニターし、練習やコンディショニングに役立てる「Player Metrics」。2つ目の「Stadium View」は家庭でテレビ中継を見ている際にスマートフォンを掲げると拡張現実でさまざまな情報が追加表示され、スタジアムにいるような興奮を得られるというアイデアだ。最後の3つ目は各選手のヘルメットに小型ビデオ・カメラを装着し、選手の視線でプレーを見ることができる「Player View」だった。

 5日の選考結果発表では「Player Metrics」が優勝に選ばれ、応募者には5万ドルの賞金とゲーム・チケットが贈られている。

 セカンド・スクリーンをより快適に使える環境や拡張現実を使ったより没入感の高い観戦機器など、いずれも実用化はこれからといったところだが、それでも近い将来、観戦スタイルがITにより大きく変わりそうであることを予感させるに十分であった。

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著者プロフィール

兵庫県出身。明治大学卒業後、科学雑誌編集部勤務を経て、1995年にフリーランスとして渡米。以降19年間、ニューヨークを拠点に、NFLやサッカーを中心としたスポーツと、インターネット、TV、コンピュータといったIT分野の2つをカバーした。2014年春に帰国したのをきっかけにフリーランスのジャーナリスト業の傍ら、NFLの日本における窓口NFLジャパン リエゾン オフィスでPRディレクターを兼務。

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