低調なバルセロナと復調したレアル リーガの行方を分からなくする2強の現状

超攻撃的なチームに変化したレアル・マドリー

ジダン就任後のレアル・マドリーは精神的に立ち直り、タイトル争いができる状態になったと言えるだろう 【Getty Images】

 ジネディーヌ・ジダンが監督に就任した1カ月前より、レアル・マドリーではビセンテ・デル・ボスケ時代のように、自由を与えられたスター選手たちが伸び伸びと攻撃的にプレーする姿が見られるようになった。

 ジダン就任後に臨んだ4試合のうち、レアル・マドリーはサンティアゴ・ベルナベウで行われた3つのホームゲーム全てでゴールラッシュを実現している。早い時間帯に得点を重ねて勝負を決めてしまったが故、その後極端にペースを落として“シエスタ(スペイン語で昼寝の意)”に入ってしまったところは改善すべき点ではあるが、監督交代を機にBBC(カリム・ベンゼマ、ギャレス・ベイル、クリスティアーノ・ロナウドで形成される3トップ)やイスコ、ハメス・ロドリゲスらが活力を取り戻したことは確かだ。

 現在のレアル・マドリーは彼ら攻撃陣に加え、前監督の細かな指示から解放された両サイドバックのマルセロとダニエル・カルバハルがFWのように繰り返し攻め上がる、超攻撃的なチームとなった。すでにC・ロナウドは19ゴールを決めてルイス・スアレスとともにピチチ(得点王に与えられる賞)争いの首位に並び、ベンゼマも自己記録まであと3ゴールと迫る18ゴールを挙げている。

 また12月2日に行われた国王杯・カディスとの4回戦において、出場停止のデニス・チェリシェフを起用するミスによって、早い段階で国王杯を失格となったことで、しっかり休養をとりながらコンディションを上げていく余裕ができたこともプラスに働いている。ベースとなるシステムすら定まらなかったラファエル・ベニテス時代を経て、精神的に立ち直った今のレアル・マドリーは、十分にバルセロナとタイトルを争える状態にあると言えるだろう。

 果たして今季のリーガは早々に決着がつくのか。順位表や試合結果はその可能性を支持しているが、ピッチ上のプレーを見るたび、異なる結末の存在を否定し切れなくなってしまう。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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