長友は主力として信頼されているのか? 人選が定まらないインテルのSB事情
ミラノダービーでは出番なし
1月31日に行われたミラノダービーで長友の出番は訪れなかった 【写真:Maurizio Borsari/アフロ】
「いつも真剣に練習に取り組む素晴らしい男で、信頼がおける。良いプレーは続けているし、(ダービーで)プレーする可能性はある」。前日の記者会見でロベルト・マンチーニ監督は思わせぶりなことを言ったのだが、いざふたを開けてみればサイドバック(SB)は右がダビデ・サントン、左がファン・ジェズスという人選になった。
率直に残念だった。ミランMF本田圭佑は右サイドハーフで定位置を再奪取し、ダービーでのマッチアップも期待される状況だった。結果論だが、ファン・ジェズスは本田に振り回されただけに余計に惜しまれた。ただこれまでの起用法を見てみれば、この展開も予想はできた。インテルのSBは、1試合ごとに変わっているのだ。そして4日前の27日、長友はコッパ・イタリア準決勝ユベントス戦(0−3)でフル出場している。案の定マンチーニ監督は試合後、「(ダニーロ・)ダンブロージオと長友はコッパ・イタリアで疲れていた」と説明していた。
ちょうど相手のミランが連係の固定にこだわり、調子が上向いた本田を公式戦8試合に連続出場させていたが、対照的にインテルでは人選が固定されていない。長友も11月30日のナポリ戦(1−2)までは4試合連続で先発出場していたが、そこからはシャッフルが続いている。果たしてどう意味があるのだろうか。戦術上あえてなのか、人選を絞りきれていないのか。長友は主力として信頼されているのか、いないのか?
特性により使い分けられていた4人
マンチーニ監督が率いる今のインテルでは、定位置が確保されている選手はほとんどいない 【写真:ロイター/アフロ】
もっとも長友自身に焦りや戸惑いはなかった。
「僕ら自身も試合の当日のミーティングまでそのメンバーと、フォーメーションも分からない状態なので。マンチーニ監督と戦術のトレーニングをしていますし、誰がどこに入っても良いプレーができるようにというイメージはできています」
実際、このインテルでは誰もがスタメンにもなるし、誰もがベンチに回る可能性がある。定位置が確約されているのはGKサミル・ハンダノビッチにセンターバックのジェイソン・ムリージョとミランダのコンビぐらい。エースストライカーのマウロ・イカルディも、中盤の守備の重鎮ガリー・メデルも戦術次第でベンチに回ることはざらにあった。
SBも、特性により使い分けられている印象だった。スピードと運動量の卓越した長友は、スピードのあるサイドアタッカーが相手にいる場合には特に重宝される。攻撃参加もそつなくこなせ、ラインディフェンスへの参加も安定したダンブロージオとともに、守備重視か攻守をバランス良く両立させたい場合はこの2人の選択となる。
左サイドを攻撃的にいきたい場合には、左足の技術が高くビルドアップも安定しているテレス。ジェノア戦では攻め上がりからワンタッチで芸術的なクロスを上げ、「ロベルト・カルロスの喪失以来続いていた左SB探しに終止符を打たれるか」などと地元メディアは喜んでいた。そして右サイドのモントーヤは、バルセロナのカンテラ(下部組織)出身らしい技術の高さとアイデアで積極的に前線の攻撃に絡む。1−0で競り勝つ試合が多い一方、「試合の中で2点以上は取れないと試合をものにできない」と語っていたマンチーニ監督は、この選択肢も試した。基本的にローテーションはこの4人、開幕時の主力となっていたサントンとファン・ジェズスはやや選択から外れる、といった格好になった。