【RISE】吉本光志、引退試合で“最強の敵”倒し有終 “スーパー高校生”那須川は判定勝利に猛省

長谷川亮

“最強の敵”ゾウガリーを自ら指名

引退試合で“最強の敵”を倒し有終の美を飾った吉本光志 【中原義史】

「RISE 109」が1月31日、東京・後楽園ホールで開催された。大会第6試合、セミファイナル前に組まれたのは初代RISEスーパーライト級王者・吉本光志のファイナルマッチ。
 1980年2月6日生まれ、36歳を目前にした吉本は2000年7月に20歳でプロデビュー。03年の小林聡戦で敗れるも注目を集め、05年に韓国でIKMF東洋ライト級王座を獲得した。
 06年〜07年にはパンクラスに参戦して総合格闘技にも挑戦し、新人王戦にあたるネオブラッド・トーナメントを制覇。その後再びキックへ戻ると09年にRISEで初代スーパーライト級王者に輝き、同王座は2度の防衛を成し遂げた。
 近年は海外や他団体などアウェーの地に戦いを求め、今大会が50試合目。最後まで手数を止めず毎回激闘を繰り広げる吉本らしく、昨年裕樹(2RKO)、鈴木博昭(ダウンを奪っての判定勝ち)と実力者2人に完勝を収めた“最強の敵”ザカリア・ゾウガリーを自ら指名し、ファイナルマッチのリングに立った。

引退試合を2RTKOで有終の美

“最強の敵”ゾウガリーを2RTKOで下し有終の美 【中原義史】

 1R、ゾウガリーはさっそくアッパー、バックブロー、ハイキックに跳びヒザとその強打を回転させる。しかしラウンド後半、吉本は得意とする接近戦でショートの連打を見舞い、ボディーにヒザも打ち込みゾウガリーを後退させる。

 2Rもブロッキングでゾウガリーの攻撃を弾きながら前に出た吉本は、ヒザと左ミドルでゾウガリーを攻めていく。このボディー攻めを嫌がる様子を見せたゾウガリーは、吉本がさらにアッパーを交えてヒザと左ミドルで攻めると当たり所が悪かったか、えづいたようになり、レフェリーはダウンを宣告。その後ダメージから吐いてしまって続行不可能となり、吉本が2RTKOで勝利した。

 エキシビションという形も少なくない引退試合において、あえて最強の敵を選んだ吉本であったが有終の美を飾ることに成功。セレモニーではファンや関係者、両親と妻らに感謝を述べると今後も指導者として格闘技に携わっていくことを語り、「夢は男を大きくします。これからも格闘技を応援してください」とメッセージしてリングを後にした。

吉本の後輩・野辺がSフェザー級新王者に

王座決定戦を制した野辺広大がRISEスーパーフェザー級新チャンピオンに 【中原義史】

 この日のメインイベントではそんな吉本の思いを受け継ぐように、22歳の後輩・野辺広大が第4代RISEスーパーフェザー級王座決定戦で花田元誓を破って新チャンピオンに(判定勝ち)。吉本の引退に花を添えた形となった野辺は「これからのRISEは那須川天心だけじゃありません。俺がいます。このベルトが最強なのを証明していきます」と、今後の意気込みを語った。

那須川「僕らしくない試合をしてしまいた」

判定勝ちを収めた那須川だが「僕らしくない試合をしてしまい、すいませんでした」と反省の弁 【中原義史】

 そんな野辺のマイクでも名前の挙がった“スーパー高校生”那須川は、この日セミファイナルで32戦28勝(8KO)4敗という戦績を持つギリシャのマノリス・カリシスと対戦。

 1Rに左の三日月蹴りからの左ボディーと、ボディを交えたパンチ連打で幸先よく2度のダウンを奪い今回も1RKOかと思われた那須川だが、粘りを見せるカリシスは後半に右ストレート、右フックを当て1Rを乗り切る。

 その後もKOせんとカウンター狙いに変わるなどした那須川だが試合序盤の勢いは戻らず、カリシスの右ストレートを被弾し鼻血を出す場面も見られ、結果は30−26、30−26、30−25の判定勝ち。

 試合後 マイクを持った那須川は「僕らしくない試合をしてしまい、すいませんでした。今日の試合で自分がまだまだなんだと実感しました。カリシス選手は強くて、今までやったことのないタイプで焦ってしまいました」と反省を口にする一方、「このまま世界レベルで通用するか分からないですけど、世界を目指していきたいと思います。父から『努力や挑戦した者は大成する』と言われています」と続け、その姿勢を表すように3月12日の「NO KICK,NO LIFE」と3月26日の「RISE 110」に2週間の間隔で連続出場することを打ち上げた。

 そのほか、大会の全試合結果は以下の通り。

■「RISE 109
1月31日(日)東京・ 後楽園ホール

<メインイベント 第4代RISEスーパーフェザー級(60kg)王座決定戦 3分5R無制限延長R>
○野辺広大(1−siam gym)
(判定3−0)
●花田元誓(リアルディール/第2代RISEフェザー級(57.5kg)王者)
※49−46、49−46、49−45
※野辺が新王者に

<セミファイナル 55.5kg以下契約 3分3R延長1R>
○那須川天心(TARGET/RISEバンタム級(55kg)王者、BLADE FC JAPAN CUP 2015 −55kg優)
(判定3−0)
●マノリス・カリシス(ギリシャ/MAXPAINギリシャ王者)
※30−26、30−26、30−25

<第6試合 吉本光志ファイナルマッチ 65kg以下契約 3分3R延長1R>
○吉本光志(1−siam gym/元RISEスーパーライト級(65kg)王者)
(2R1分58秒 TKO)
●ザカリア・ゾウガリー(モロッコ/S−cup−65kg世界トーナメント2014準優勝)

<第5試合 スーパーフェザー級(60kg)3分3R延長1R>
○小宮山工介(北斗会館/BLADE FC JAPAN CUP 2014 −61kg優勝、元RISEスーパーフェザー級(60kg)王者)
(延長判定3−0)
●マンサワー・ヤクビ(オランダ/WMTA−60kg級王者、WMTA−63.kg級王者)
※3者10−8
※本戦判定は30−29(ヤクビ)、29−29、29−29でドロー

<第4試合 スーパーフェザー級(60kg)3分3R延長1R>
○郷州力(PHOENIX/スーパーフェザー級4位)
(判定3−0)
●一馬(MONSTAR GYM/スーパーフェザー級8位)
※30−29、30−29、30−28

<第3試合 フェザー級(57.5kg)3分3R延長1R>
○八神剣太(レジェンド横浜/J−NETWORKフェザー級王者)
(判定3−0)
●森本“狂犬”義久(BRING IT ONパラエストラ葛西/フェザー級2位)
※30−29、30−28、30−28

<第2試合 バンタム級(55kg)3分3R延長1R>
○優吾・FLYSKYGYM(FLY SKY GYM/バンタム級11位)
(2R1分19秒 KO)
●津田鉄平(新宿レフティージム/バンタム級7位)

<第1試合 バンタム級(55kg)3分3R延長1R>
○佐野貴信(創心會/バンタム級9位)
(1R2分28秒 KO)
●沙斗流(ラビカラ/バンタム級8位)
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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