中京大中京の岡山哲也監督が感じたこと 高校サッカーの美しさと奥深さ
善戦するも、3回戦で敗退
中京大中京(写真)は3回戦で敗退。試合後、元Jリーガーの岡山監督は高校サッカーで学んだことを語った 【写真は共同】
前半から星稜のペースで進んだ試合は、先制後もMF片山浩が右ワイドから放ったミドルシュートがポストを直撃するなど、星稜が追加点を取りそうな場面もあった。しかし、途中出場のMF加藤弘也やFW石川黎弥のアグレッシブな仕掛けもあり、終盤に向けて中京大中京が反撃。残り10分となったところで投入されたMF石川将暉がさらに勢いをもたらしたが、あと一歩及ばなかった。
かつてJリーグで活躍し、“ミスターグランパス”と呼ばれた中京大中京の岡山哲也監督は2011年に名古屋グランパスからの出向という形で母校の監督に就任して5年になる。その間、最も教えを受けた一人が星稜の河崎護監督だった。「師弟とはおこがましいですけれど、河崎先生だからこそ勝ちたかった」と語るが、何より優先したのは選手たちの思いだ。
「ギリギリのところだったんですけれど、もう良くも悪くも(石川将暉を起用するのは)マストかなと。最後を託す思い」でハムストリングの負傷を抱える主将を投入したのも勝利を目指すと同時に、選手の思いに応えるためだ。石川将暉は辻星哉からキャプテンマークを引き継ぐと、持ち前の積極性を押し出して終盤のチャンスを引き寄せた。
「(けがの再発?)シュートかパスか分からないけれど、それはもう“時限爆弾”みたいなもので、出られたことが奇跡だと思うんです。プロ選手だったら絶対にやらない。高校サッカーの良いところで、最後に懸ける思いが回復を早くして、最後にピッチに立てた」
生徒たちのサッカーに取り組む思いは異なる
「やっぱり強い精神力があれば、そういうものを乗り越えられる。信じる者は良い経験ができるということで、愚直にサッカーに取り組める。本当に言葉が良いか悪いか分からないですけれど、高校サッカーって美しいですよ。いろいろなものが詰まっている」
高校サッカーを心からリスペクトしているという岡山監督はトップ選手を育てたいという思いを持ち続けながらも、中京大中京での指導を通じて学んだことがあるという。それは控え選手も含めた生徒たちそれぞれに、サッカーに取り組む思いがあるということだ。
「いま部員は83人いるんですけど、色が1から83まで違う。学校で起こり得ることもサッカー部で起こり得ることも含めて、トータルで見て毎日が違う色、そう思います。83人いて上から5番目、6番目ぐらいまではプロのサッカー選手を目指す。
でもそれ以外の子たちは大学に入って、社会に出てとか。だから僕自身はサッカーを通じて社会に出た時の頑張り方を伝えたいと思うし、高校サッカーを通じて彼らに、プロを目指さない83番目の子にも良い思い出を作ってあげたい」