中京大中京の岡山哲也監督が感じたこと 高校サッカーの美しさと奥深さ
岡山監督の考える良い指導者とは?
「よく高校サッカーでは『引退』という言葉が使われます。競技として続けるかどうかはともかく、83人いたら何らかの形でサッカーを続けるのが理想でしょうか?」
「僕は60歳になってもサッカーが好きだ。あるいはサッカーに携わる仕事をしているという子たちを育てたいと思います。プロ選手を何人育てたというのも良い指導者かもしれないけれど、83人の中で(プロを目指さない)70何名もの子どもたちが、岡山のもとで、中京高校でサッカーをやって良かったなと。そう思ってくれる子を育てることも良い指導者の一人だと。それが高校サッカーではないかと」(岡山監督)
「岡山監督に預けてきた3年間。いろいろな人に出会えて、いろいろな経験ができた」と感謝を表す石川将暉は中京大に進学するが、サッカーを競技として続けるかはまだ決まっていないという。しかし、小学校の教員資格を取り、ジュニア世代を教えるという目標は定まっているようだ。その石川ら3年生たちと同時に、今回の選手権を経験したMF井村早良やFW本山遊大など1、2年生の成長にも指揮官は期待する。
「本山は田舎のサッカー小僧だったんですけれど、全国でもサッカー小僧として通用する部分。井村に関してはスピードもありますし、相手をよく見てプレーできる。本当に来年、再来年の主軸となって、こういう負けを経験したことも彼らにとっては今度のプラスになっていくかなと思います」
今後、高校サッカーに関わっていく元Jリーガーに対して、「やっぱり高校サッカーを経験しなければ高校サッカーの指導者はできない。それだけ高校サッカーは奥深いものがあって、簡単ではないということを伝えたい」と語る岡山監督。再びチームとして次の選手権を目指しながら、プロを目指す選手、大学でサッカー競技を続ける選手、指導者になっていく選手の一人ひとりの成長を見守っていくはずだ。
「負けましたけれど、本当に良いゲームだった。新チームになった時は不安だらけのスタートだったけれど、選手権を通じて、本当に今日は0−1の状況で1点取ろうと集中して同じ方向に向かっていた。そういう意味で今年のベストゲームと言えるぐらい、気持ちも体も目的も詰まっていたと思います」(岡山監督)