桐光学園、破壊力のある攻撃でリベンジを 自慢はバルサのMSNばりの3トップ

安藤隆人

全員の守備意識を徹底

桐光学園はエースの小川(9番)以外にも豪華なメンバーがそろっている 【安藤隆人】

 看板3トップの後方に構える陣容にも抜かりはない。「攻撃力を生かすには、しっかりとした守備が欠かせない要素。前線からのハードワークはもちろん、全員の守備意識は徹底させている」と、チームのOBでもある鈴木勝大監督は語る。3トップから最終ラインにかけて、激しいプレスを仕掛けて相手の自由を奪うのだ。

 ビルドアップがうまく、守備範囲の広さが光るGK指崎尚大を軸に、ディフェンスラインもタレントがそろう。小林陸と安部崇士(共に180センチ)のセンターバックコンビが中央を固め、左サイドバックのタビナス・ジェファーソン(182センチ)、右サイドバックの佐藤海徳(178センチ)も、攻撃力と守備力を併せ持つ。守備ライン間のスライドも非常にスムーズだ。

 さらにダブルボランチも、出足の鋭い守備が得意な佐藤太一と、攻撃センスを持った桑原遥のかみ合わせもよく、トップ下のドリブラー・鳥海芳樹とポジションチェンジを繰り返しながら、中盤を活性化している。看板3トップが献身的な守備で貢献をすると、中盤から後ろも粘り強さと多彩な構成力を持って、3トップにチャンスボールを供給する。この関係性の良さが、チームの武器である「破壊力」を生み出している。

悔しさを晴らすため

「昨年は十分過ぎるくらい悔しい思いを味わった。今年もインターハイ(高校総体)で悔しさを味わったので、それを晴らしたい。選手権は3年間の集大成。後悔のないように、自分が点を取らないといけないし、チームとしての高い共通意識を見せたい」

 小川は強い意識を込めて語る。チーム全員でこれまでの悔しい思いをぶつける覚悟ができている。

 昨年度は選手権予選の準々決勝で日大藤沢に敗れ、全国大会に出場できなかった。そして選手権が始まると、自分たちを下した日大藤沢が快進撃を続け、ベスト4進出を果たした。ライバルの勝ち上がりのニュースを聞くたびに、悔しさが増していった。リベンジを誓った今年、インターハイ予選決勝で日大藤沢に勝利し、神奈川県第一代表で出場したが、結果は久御山(京都)にPK戦の末に敗れ、初戦で大会を去った。全国で勝てなかった悔しさが積み重なった。

 選手権予選を制し、2年ぶりの出場を果たしたが、日大藤沢と対戦することはなかった。それだけに彼らの悔しさはまだひとつも晴れてはいない。真の雪辱は、初戦突破はもちろん、昨年の日大藤沢を超える成績を収めること。それはすなわちファイナリストになることだ。その先にチーム最高成績となる全国制覇が待っている。まずはその第一歩を踏み出すべく、初戦の長崎南山(長崎)戦に全力で臨む。

2/2ページ

著者プロフィール

1978年2月9日生まれ、岐阜県出身。5年半勤めていた銀行を辞め単身上京してフリーの道へ。高校、大学、Jリーグ、日本代表、海外サッカーと幅広く取材し、これまで取材で訪問した国は35を超える。2013年5月から2014年5月まで週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!』を1年連載。2015年12月からNumberWebで『ユース教授のサッカージャーナル』を連載中。他多数媒体に寄稿し、全国の高校、大学で年10回近くの講演活動も行っている。本の著作・共同制作は12作、代表作は『走り続ける才能たち』(実業之日本社)、『15歳』、『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、『ムサシと武蔵』、『ドーハの歓喜』(4作とも徳間書店)。東海学生サッカーリーグ2部の名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント