問題児ゴールドシップは「1着か着外」 競馬のプロ達による有馬記念トークバトル

競馬専門紙「優馬」

有馬の歴史は波乱の歴史

今年躍進したスクリーンヒーローの仔ゴールドアクターも注目の1頭(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】

伊利「僕は過去10年で最速の勝ち時計だった春の日経賞組を重視すべきかと思います。同舞台の有馬記念に当てはめても過去10年で2番目ですからね。久しぶりに内枠を引いた勝ち馬アドマイヤデウスも怖いですが、直線で前が塞がり大外まで持ち出すロスがありながら、上がり最速で勝ち馬にコンマ3秒差まで迫ったサウンズオブアースに最後の夢を託します」

持木「僕もサウンズオブアースの日経賞は、休み明けだったことを考えても十分な内容だったと思いますし、次の天皇賞は、水が撒かれて馬場が緩くなったことが敗因と見ています。この秋2戦も着差は僅かですから、面白い存在ですよ」

大江原「前走のJCは、1コーナーで他馬と接触して手綱を絞る不利があって、結果馬群に押し込められて、直線では早目に動かざるを得なかったんだよな。それでもコンマ3秒差に踏ん張ったのは能力。レコード決着だった昨年の菊花賞2着を見直すべきだよ」

広田「ジョッキーも前走については“ホント、アンラッキー。悔しいよ”と言ってましたし、“この馬はチャンピオンホースになれるよ”と評価してますからね。“秋3走目で絶好調”と、藤岡健師の期待も大きい馬です」

デスク「昨年の菊花賞と言えば、3着のゴールドアクターも、休養を挟んで無傷でここまで来たな」

西田「前走のアルゼンチン共和国杯は、馬場が緩かったぶん突き抜けることはできませんでしたが、内容は完勝だったと思います。陣営は菊花賞時でも“まだまだ成長途上”と評価していて、その後は無理をせずに馬体の成長を促し、4歳にして素質開花となったのも陣営の辛抱のたまものでしょうね。流れに左右されず常に自分の力をフルに発揮できる馬ですし、操縦性の高さからもこのコースは合うはずです」

福田「ローテーション以前に、今年のJCは近年にないレベルの低さやったと思うとるんや。当然別路線組からの狙いになるんやが、中でもゴールドアクターは底が割れとらんし、フレキシブルなのが魅力やね。ネット映像で観た追い切りも、よく見えたで」

小野智「同じ連勝中の上り馬ですが、私はアルバートの方を。何より内目の絶好枠を引き当てたのがいいですし、デキも絶好調な馬の勢いはもちろんのこと、今年はリーディング独走でGIも勝ちまくった堀厩舎が、最後も締めてくれるんだよね、小島君?」

小島「何せ前走はマラソンレースですし、疲れは出たようですが、思ったより回復が早いという判断で出走を決めたようです。ただ、前走は相手に恵まれたことも否めず、陣営には“勝ちたい”というよりも“現時点でどこまでやれるのか”という雰囲気が感じられるんですよ。来年大きなところを取れれば、というところでしょうかね。僕の取材の感触からは押さえで十分だと思います」

武井「ただ、前走で2着に付けた5馬身差は、今年の古馬中長距離重賞で最大のものだったんですよね」

守屋「一瞬にして抜け出した脚から桁違いの強さだったと言えますし、相手のレベルを差し引いても脅威だと思います。小島さんの言葉は気になりますが、僕は相手として積極的に買いますよ」

加茂「枠やったら最高なのが1枠2番のヒットザターゲットや。今年の目黒記念勝ちが1番枠、その前に勝った京都大賞典が2番枠。とにかく内を引いてうまく脚を温存できたら、ビックリするほどの脚を使う馬。人気がなくて気楽に乗れる立場もプラスやし、あと、個人的に馬券の相性もエエから、最後はこれに託しますわ」

清野「前走のJCで私もヒットザターゲットに◎を打ったんですが、内枠を引きたいという陣営の願いとは裏腹に13番枠。そこから内へ入れるには一旦後ろへ下げるロスがありましたし、直線でも進路が全くない状態でしたからね。見事に2番枠を引き当てた今回は、見せ場以上もあるかと思います」

デスク「せっかくだから、清野ももう1回◎を打てば良かったのに……。ただ、代わりに◎のラストインパクトも、ムーア騎乗だったらここまで人気は下がらないよな」

清野「この1年で大きく崩れたのは、直線で前が塞がった秋の天皇賞だけです。金鯱賞からの中2週だった昨年よりも、良い状態で臨めそうですし、その昨年も7着とはいえコンマ2秒差ですからね。これまた絶好枠を引き当てた今年は、菱田騎手に乗り替わっても狙えますよ」

加茂「その昨年は、直線で前が詰まって不完全燃焼やったからな。当時と同じ菱田騎手がどう乗るかやろね。ロスなく運んで、うまく馬群を捌ければ、可能性はあるやろ」

久光「なかなか発言のタイミングがなく、やきもきしてましたが、僕は穴中の穴としてアドマイヤデウスを狙っています。日経賞勝ち以降の3戦は、いずれも外枠に泣いた印象を受けましたが、裏目に出たとはいえ前走で出して行ったことは、ポジション取りが重要な有馬の舞台で生きると思います。その日経賞は後半5ハロンが全て11秒台というタイトなレースで、自ら外目を動いて出る相当に強い内容でしたし、伊利君も言っていたように走破時計もここでは威張れるもの。これまた好枠での一変に期待します」

那谷「あと、担当馬としてマークしたいのがトーセンレーヴだな。常識的に連闘での挑戦は厳しいと思えるけど、振り返れば3歳時には青葉賞からプリンシパルSへと連闘し、しかも勝ってダービーへ駒を進めた馬。59キロの酷量を克服した前走は着差以上の強さと言えるし、もちろん“疲れがないからこそ出走する”という陣営の判断も後押しだよ。近年の有馬では“人気薄の外国人騎手騎乗馬”が穴をあけるパターンも多いしな」

デスク「まだ名前の挙がらない馬の中にはGIホースもいるんだが……」

坂倉マリアライトですよね。前走は全てが巧く噛み合ったことは確かですが、最後に詰め寄られてからもう一伸びしたように、強い勝ち方でした。状態に関しても前走と同じ位ですし、中山2500mでも勝ち鞍があるようにコースも合っています。ただ、ここは正直言って相手が強いですね。加えての大外枠も厳しいかと…。だったら、同じGIホースでも名前が挙がっていないワンアンドオンリーの方が怖いと思います。先行好位勢には苦しかったJCでは、ガチで好位からの競馬。直線でも行き場を失うシーンがあってのコンマ3秒差なら、復調の気配は窺えましたよ」

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著者プロフィール

競馬専門紙「優馬」のスペシャル競馬サイト。トレセンや競馬場という現場で記者やトラックマン達が仕入れてきた生情報を元に、予想記事やコラム記事を掲載しています。さらに、競馬ファンのニーズに対しダイレクトに応えていくようなコンテンツも展開。

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