ヒロイン誕生なるか、富士山女子駅伝 原石たちがつなぐたすきのドラマ[2]

中尾義理
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提供:フジテレビジョン

立命館大を脅かすエースたち

10月の全日本大学女子駅伝では2位に入った大東文化大学。立命館の牙城を崩せるか 【写真は共同】

 大東文化大にも今季の女子大生を代表する選手がいる。ユニバーシアード女子5000メートル8位&1万メートル5位の小枝理奈(3年)と、同ハーフ7位の福内だ。福内は前回の富士山で5区区間賞に輝いている。他にも1万メートル32分40秒54の木村芙有加(3年)ら、1〜3年生に5000メートル15分台の元気なランナーがそろう。立命館大を脅かすには1、2区の先行が必須だ。スピードランナーを並べられるか。

 松山大にもチャンスがある。アジア選手権の女子3000メートルSC(障害)に日本代表で出場した高見澤安珠(2年)は、6月の日本選手権で初優勝した。9月には海外レースで9分53秒72の学生新記録。リオデジャネイロ五輪の参加標準記録9分45秒00に一歩ずつ近づいていることも励みになっている。
 ユニバーシアード女子ハーフ3位の上原明悠美(3年)は11月に1万メートル32分36秒25をマーク。1区でスタートダッシュを託されるか、あるいは最長4区で先頭を捕まえる役割を担うか。他に日本インカレ女子3000メートルSC優勝の三島美咲(3年)、1万メートル33分02秒98を持つ古谷奏(1年)が要所をつなぎ、立命館大を追いかける。

 勢いを感じるのは日体大。全日本大学女子駅伝で4位に入った。11月に1万メートルで唐沢ゆり(2年)と細田あい(同)が32分40秒81、32分41秒00と好走。前回10位のメンバー全員が残り、さらに1年生にも5000メートル15分台が複数人いる。3位争いに加わってきそうな陣容だ。

まだまだ控える実力者

 個人では、鍋島莉奈(鹿屋体大4年)と清水萌衣乃(東農大1年)にも視線が注がれる。

 鍋島は9月の日本インカレ女子1万メートルの覇者。前回の富士山は4区で区間新の快走。最下位でたすきを受ける不利な状況をはねのけ、区間2位に48秒差の断トツの走りだった。国体成年女子5000メートルで3位に入賞した後、故障に見舞われ、全日本大学女子駅伝は1区13位に泣いた。今回は涙を笑顔に変える走りが見られるか。

 清水は全日本1区で立命館大・大森から7秒遅れの区間2位。堂々たる全日本デビューだった。小柄だが、勝気なレースが身上。12月に5000メートル15分55秒91の自己新で走り、上り調子だ。先輩でアジア選手権女子1500メートル銅メダルの飯野摩耶(東農大4年)も国内屈指のスピードを発揮してくれるだろう。

 日本インカレ女子5000メートル優勝で12月に5000メートルの自己記録を更新した新井沙紀枝(3年)を擁する大阪学院大、全日本大学女子駅伝で5区まで3位だった名城大も上位進出を期す。

次世代のヒロインはここから生まれる

 エース区間であろうと、つなぎの区間であろうと、選手たちの走りにはそれぞれの目標とプライドが込められている。たすきの力を借りて、持てる走力を振り絞る。その先に、日体大出身の有森裕子さん(女子マラソン1992年バルセロナ五輪2位&96年アトランタ五輪3位)や大阪学院大出身の高橋尚子さん(女子マラソン2000年シドニー五輪優勝)のように、学生時代に積み上げた努力が後になって開花する選手も出てくるはずだ。

 これから誰がチャンスをつかみ、世界へ羽ばたいていくのか、シナリオは決まっていない。つまり全員がヒロイン候補。そんな彼女たちをぜひ覚えてほしい。20年の夏、今よりもっと輝いているかもしれないから。


「SUZUKIスポーツスペシャル 2015富士山女子駅伝」
12月30日(水)あさ9時50分〜 フジテレビ系列全国ネット生中継

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著者プロフィール

愛媛県出身。地方紙記者を4年務めた後、フリー記者。中学から大学まで競技した陸上競技をはじめスポーツ、アウトドア、旅紀行をテーマに取材・執筆する。

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